BTS、Vを支える姿から見えた“7人が揃うこと”の大切さ SUGA不在の際にも感じた絆
BTSが10月24日に開催した約1年ぶりのオンラインコンサート『BTS PERMISSION TO DANCE ON STAGE』。「7人全員で考えた」というセットリストにソロコーナーはなく、全ての演目で7人が出演。久しぶりに披露されたナンバーから最新ヒットソングまで、彼らの確かな歩みと進化を感じられるものだった。
世界的パンデミックにより、多くの人が2020年〜2021年を“失われた時間”と呼ばざるを得ない事態になった。特に多くの人を集めて公演することができなくなったエンタメ業界の打撃は大きく、今もまだその混乱は続いている。
何が正解か見えない中で、エンターテイナーたちもこれまでにない表現方法を模索し続けた。それは、今や世界的な人気を誇るグローバルグループに成長したBTSも例外ではない。公演中、「準備しながら色んな悩みを抱えてた」(SUGA)、「どうすればいいかわからないこともあった」(J-HOPE)とメンバーが口々に率直な思いを吐露していたのが印象的だった。
そんな迷いを抱えながらも、彼らが導き出した一つの答え。それがRMの「どんな状況でも幸せになる方法を見つけるのがBTSでARMY(ファン)ですよね?」という言葉に集約されていたように思う。
会えない間も、空はつながっているのだと伝えた「Permission to Dance」。その曲に合わせて、世界中のARMYが友人や家族と共に踊り、動画を撮影し、シェアしてきた。違う言語の人同士でも両手を胸の前で前後させる動きを見れば、一緒に踊れるほどそのつながりを感じることができたのは、まさにエンタメの力。
これまでもBTSは様々な苦しい壁を乗り越えてきた。7人が揃っていれば、この危機的状況をも進化のきっかけにすることができるはず。この7人であれば……今回のオンラインコンサートにはそんな想いが集約されていたように思う。
だからこそ、本番直前である23日夜のリハーサルで足を負傷してしまい、全力でパフォーマンスすることができなかったVの無念さはどれほどだっただろうかと苦しくなる。「僕は楽しくなかったです。辛かったです。ライブを楽しみにしていたのに、恥ずかしくも怪我をしてしまって」。その真っ直ぐな言葉にこちらも胸が痛くなった。
しかし、これほどVの悔しさがひしひしと伝わるということそのものが、“7人でこそBTS”という真価を観る者にしっかりと印象づけられたとも言えるのではないだろうか。本来Vがいるはずのスペースを空けた状態での振り付けは、むしろそこにVの存在を強く感じさせるものだった。メンバーはすきあらばVが座る椅子のそばへと駆け寄り、この時間を共に楽しもうとする様子が見て取れた。
MCの際にはVが、自ら「僕なしでやってみてどうですか?」と聞いてしまう可愛らしい一幕も。もちろん、そんな問いにメンバーは「空席は大きいですよ」「ものすごく寂しい」と間髪入れず素直な思いを伝える微笑ましい時間が流れたのは言うまでもない。逆境のときにこそ強まる想いがあるように、完璧ではないときにこそBTSの絆の強さを改めて実感することができる。それは、昨年SUGAが肩の手術とリハビリに専念するために休養をしていたときにも感じられることだった。