「タイムファクター」インタビュー

神はサイコロを振らない、未来に進む中で失ったものと得たもの 『ワールドトリガー』主題歌に内在するバンドの葛藤

 4人組ロックバンド、神はサイコロを振らないの新曲「タイムファクター」が10月17日にデジタルリリースされた。本作はアニメ『ワールドトリガー』3rdシーズンの主題歌として書き下ろされたもの。神サイは『ワールドトリガー』の2ndシーズンにもエンディングテーマ「未来永劫」を提供しており、2期連続の起用はアニメ『ワールドトリガー』史上初となる。ボーカルの柳田周作いわく、「バンドで練り上げた神サイ史上最もグルーヴィーなサウンド感」に仕上がった「タイムファクター」。その制作秘話はもちろん、コロナ禍でのメジャーデビューという困難をバンドがどう受け止め、どう乗り越えてきたのかについて、メンバー全員に改めて尋ねてみた。(黒田隆憲)

『ワールドトリガー』と神サイの共通点

アニメ「ワールドトリガー」3rdシーズン オープニング ノンテロップ映像

ーー神はサイコロを振らないの新曲「タイムファクター」は、アニメ『ワールドトリガー』3rdシーズンの主題歌として書き下ろされたものです。2ndシーズンではエンディングテーマ「未来永劫」を担当しており、2期連続の起用はアニメ『ワールドトリガー』史上初。この快挙をどう受け止めていますか?

柳田周作(以下、柳田):とても光栄でした。2期連続で起用してもらえたのもそうですし、中高生の頃からずっとアニメを見続けてきた自分としては、主題歌を手がけるなんて夢のような気持ちというか。前回、エンディングテーマ「未来永劫」という曲を書いて。ミドルロックチューンで、どちらかというと温かみのある楽曲だったんですけど、今回はもう少し攻撃的な「神サイらしい」部分が出せたのかなと思っています。

吉田喜一(以下、吉田):『ワールドトリガー』の魅力って、過去と現在が一本筋になっていて、部分的に切り取って話が進んでいくのではなく、全部の世界線が同時に動いているところだと思っていて。例えばインディーからメジャーになって、チームとして動いていく、そういうところに『ワールドトリガー』とのある種の共通点みたいなものを感じています。(主人公の一人の)オサムが抱える、過去の苦い経験とかもちょっと自分たちと重なるところがあるし。そういう共通点はレコーディングの時にも意識していました。

黒川亮介(以下、黒川):今回のオープニング映像は、神サイの世界観と通じるような結構ダークなムードがあって。それがサビに向かって開けていくイメージを、レコーディング中も意識しながら演奏していたんです。なので、実際のオープニングムービーを見たら、そこが見事にシンクロしていて感動しました。

桐木岳貢(以下、桐木):『ワールドトリガー』はオサムのストーリーというよりは、彼を取り巻くグループのストーリーだと思っていて。そこがちょっとバンドっぽくもあるからこそリンクしているのかなと思うし、作品の中で「死」を扱うことが多いところも、柳田の死生観を歌う歌詞が多い神サイの楽曲とかなりリンクしているなと思いました。

柳田:嬉しかったのは、『ワールドトリガー』のプロデューサーの永富大地さんが、今回の最初の打ち合わせの時に「神サイらしくやっちゃってください」と言ってくださったことです。楽曲提供の時って、大抵は「こんなイメージの楽曲で」みたいなリファレンスをもらうことが多いんですよ。でも今回は、「アニメのオープニングなので、突き抜けるような楽曲にしてほしい」というリクエストはあったものの、それさえ踏まえれば神サイがやりたいロックを自由にやってほしいと言っていただいて。振り返ってみても、すごく自由度の高い制作だったと思いますね。

 しかも最近の永富さんは、神サイの個人的なツイートにも「いいね」をしてくれるくらい、見守ってもらっている感じがあるんです(笑)。同じ福岡出身というのもあるし、何か親しみを感じてくれているのかなと。こんなファミリーみたいな感じで一緒に仕事ができているのがすごく嬉しいですね。

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