ネクライトーキー、自信に満ち溢れた最強のロックバンドへ 進化を確信させた『ゴーゴートーキーズ!2021』ファイナル

 中盤、朝日が白いジャズマスターを弾き倒した「ふざけてないぜ」、ドッカンドッカンと大振りのリズムにグランジなギター、藤田(Ba)のぶっといベースラインという鉄壁のトライアングルがいい味を出していた「豪徳寺ラプソディ」を経て、この日のハイライトが訪れる。中村の弾くピアノの音色に乗せて、もっさが澄んだ声で歌い上げた短い曲「思い出すこと」から、「大事なことは大事にできたら」へ(この2曲は同じメロディラインを持っている)。切ないメロディを、ギター、キーボード、ベース、ドラム、それぞれの音が力強くサポートする。その情景が、曲を書く朝日とネクライトーキーというバンドの関係性を象徴しているようで泣けてきた。

 彼の書く曲は、どれもこれも暗いし自嘲気味なのだが、それがバンドで鳴らされることによって別のエネルギーを持つ。それこそ彼が「バンド」にこだわり続けている理由なのだと改めて思う。

「僕が曲にしたいのはどんな歌なのかというと……もともと陽が当たっている人たちに歌う言葉の持ち合わせがなくて、ずっと教室の隅で漫画を読んでいた自分に歌う言葉ばっかりで。ずっと陰で何も言えず砂を噛んでいた奴らに向けて歌う歌があると、きっと、クソつまんねえなと思っていたあの日が、ヘッドフォンの中で少しだけ面白おかしくなるような気がしています」

 そんな朝日の独白から披露された「続・かえるくんの冒険」は、まさに彼の自伝であり、ネクライトーキーというバンドの自画像だ。冒険は続く、続けるんだ、続いてほしいんだ。そんな決意と願いを込めた楽曲が、ひときわ躍動的なバンドサウンドによって表現されていく。そのためにはロックバンドとして成長しなければならないし、砂を噛んででも進むだけの勇気が必要だ。その結果が目の前で展開する、ロックとしか言いようのないタフさを持ったライブなのだろう。

 「ガチガチに緊張していた」(もっさ)という初日からここまでのツアーを振り返り、タケイの誕生日(「パニックの日」こと8月29日)にプレゼントとしてもっさが絵を描いたというバスドラのドラムヘッドを自慢したりしつつ、ライブは終盤戦に突入。藤田ともっさの掛け合いやメンバー全員での「ダバダバ」というコーラスもある「気になっていく」、そしてパンキッシュに疾走する「俺にとっちゃあ全部がクソに思えるよ」をアッパーに繰り出すと、「オシャレ大作戦」を挟んで本編ラストは「Mr.エレキギターマン」。もっさの曲に朝日が歌詞をつけたこの曲が本編ラストのポジションになること自体が、ネクライトーキーというバンドの変化を物語る。〈全開で、ツマミをただ全開で〉というフレーズは、自分の曲ではなかなか出せない朝日のバンドに対するロマンそのものだろうと思う。

 アンコールではフロアからの手拍子を浴びながら「夢を見ていた」を響かせると、もっさが曲名を絶叫して「遠吠えのサンセット」へ。4つ打ちのキックが鳴り響くなか朝日も叫び声を上げる。テンポを変えながら一気に加速していく後半でさらにテンションを高めると、最後は5人顔を見合わせてのキメ。「ロックバンドってすげえ」、そんな感想が思わず浮かぶほど、最初から最後まで、彼らは最強のロックバンドだった。

■対バンライブ情報
『オーキートーキーvol.4』
12月3日(金)札幌ペニーレーン24/OPEN 18:30 START 19:00
12月5日(日)仙台Rensa/OPEN 17:30 START 18:00
12月9日(木)大阪なんばHatch/OPEN 18:15 START 19:00
12月11日(土)福岡DRUM LOGOS/OPEN 17:30 START 18:00
12月17日(金)名古屋ダイアモンドホール/OPEN 18:15 START 19:00
12月21日(火)神奈川KT Zepp Yokohama/OPEN 18:15 START 19:00

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