BAND-MAID、LOVEBITES、RAISE A SUILEN……ハードなロックサウンドで世界を狙うガールズバンドの活況

世界に轟くガールズバンドシーン

 7月6日に放送された『マツコの知らない世界』(TBS系)での特集「ガールズバンドの世界」が、さまざまな界隈で反響を呼んだことは記憶に新しい。番組では80年代から女性バンドの先駆者としてシーンを牽引し続けるSHOW-YAの寺田恵子(Vo)と、Mary’s BloodやNEMOPHILAといったガールズバンドで活躍するギタリストSAKIが、1970年代から現在に至るまで、音楽的にさまざまなジャンルへと拡散するシーンの変遷を解説していった。

 ハードロック/ヘヴィメタル(以下、HR/HM)界隈から登場した2人が中心に進行することもあり、ところどころでHR/HMシーン視点で語られる場面も見受けられた。例えば、ガールズバンドの枠には含まれないものの、BABYMETALが果たした世界的成功はこのシーンを語る上では欠かせないトピックだろう。彼女たちの世界進出以降、海外から日本産HR/HM系ガールズバンドに少なからず注目が集まり、2017年にメジャーデビューを果たした正統派HR/HMバンド LOVEBITESや、メイド服で身を包みつつもタフ&ヘビーなサウンドでリスナーを魅了するBAND-MAIDなどが海外展開を本格化。また、先駆者の1組であるSHOW-YAも今年8月にリリースした全編英語詞による新作『SHOWDOWN』で待望の世界デビューを達成させる予定だ。

LOVEBITES / Set The World On Fire [Live from “Ride For Vengeance Tour 2021”]

 今年8月に主要メンバーのmiho(Ba)が脱退を発表し、その活動を一時休止することとなったLOVEBITESだが、デビューからの短期間で遂げた偉業の数々は、BABYMETALにも匹敵するものがある。2017年11月下旬には早くもイギリスに渡り、老舗ライブハウス・The Underworldなどでライブを実施。翌2018年8月にはドイツで開催される世界最大級のメタルフェス『WACKEN OPEN AIR 2018」のW.E.Tステージに出演。曲を追うごとにオーディエンスが増えていき、最終的には1万人規模の会場に溢れるほどの聴衆を集めることに成功した。『Bloodstock Open Air』や『Download Festival』といったイギリスの大型フェス、ベルギーの『Graspop Metal Meeting 2019』、スペインの『Download Festival Madrid 2019』出演のほか、Arch Enemyの中国ツアー、DragonForceのUKツアーに帯同するなどの活躍を見せてきた。

BAND MAID / Manners, BLACK HOLE (Official Live Video) for J-LOD LIVE2

 一方、BAND-MAIDも2016年頃から海外での活動が急増。3月に米・シアトルで開催のカルチャーコンベンション『Sakura-Con』で初の海外公演を実施以降、5月にはイギリスのモダンポップカルチャーイベント『MCM Comic Con』に出演。10〜11月にはメキシコ、イギリス、ドイツ、フランス、ポーランド、イタリア、スペイン、香港を回るワールドツアーも開催した。その後も毎年必ずワールドツアーを実施し、その功績が認められ2019年4月には世界最大の興行エージェント・Live Nationと提携。11月にはハリウッド4大エージェントのひとつであるUnited Talent Agency(UTA)との契約を発表している。2020年以降は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、思うような海外展開ができていなかったが、今年9月10日にはBAND-MAIDが本人役で出演したNetflixオリジナル映画『KATE』も世界配信され、新たな一歩を歩み始めている。

 そのほかにも海外展開を積極的に行う国産ガールズHR/HMバンドは多数存在する。キャラクターはもちろんのこと、サウンドも正統派からラウドロック、ミクスチャーロックなどさまざまなので、今回紹介した2組を軸にいろいろチェックしてみるのも面白いのではないだろうか。

 先のBABYMETALやBAND-MAIDなど、ビジュアル面やメンバーのキャラクター性の強いバンドに対して、海外ではサブカルチャーとの強固なつながりも指摘される。特に日本のアニメカルチャーは海外でも高い支持を集めており、BAND-MAIDが過去に出演した『Sakura-Con』などには日本のアニメファンやゲームファン、さらにこれらを通じてJ-POPに興味を持つコア層も多数集まる。その最たるものがフランスで毎年開催されてきた『Japan Expo』だろう。筆者も『Japan Expo』やドイツ・デュッセルドルフで開催される『DoKomi』などに複数回足を運んでいるが、日本のアニメやゲームを通じてJ-POPのみならず、日本のハードな音楽にも興味を示す現地ファンは少なくない。

【公式ライブ映像】RAISE A SUILEN「R・I・O・T」

 そういった界隈で今、筆者の中でももっとも海外に届いてほしいガールズバンドが1組存在する。それがアニメやアプリゲームなど、さまざまなメディアミックスを展開する次世代ガールズバンドプロジェクト『BanG Dream!(バンドリ!)』から誕生したRAISE A SUILEN(通称:RAS)だ。声優が実際に楽器を手にし、バンド活動を行うPoppin’PartyやRoseliaといったほかの“リアルバンド”とは異なり、RASにはRaychell(Ba/Vo/レイヤ役)、小原莉子(Gt/ロック役)、夏芽(Dr/マスキング役)と、先にプロのミュージシャンとして活動していたメンバーが複数存在する。倉知玲鳳(Key/パレオ役)、紡木吏佐(DJ/チュチュ役)もバンド経験こそなかったものの、RASでの活動を通して華やかなステージングと圧倒的な実力を提示している。

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