LiSA、『プロミス・シンデレラ』とマッチする「HADASHi NO STEP」 TikTokでのダンスチャレンジでさらなる広がり

 LiSAが9月8日、19thシングル『HADASHi NO STEP』をリリースした。今年4月20日にソロデビュー10周年を迎えたLiSA。10周年ミニアルバムと銘打った前作『LADYBUG』に引き続き、アニバーサリーは継続中。そんなタイミングでリリースされるシングルは、デビューからLiSAの楽曲を手掛けてきた田淵智也(UNISON SQUARE GARDEN)が作曲した曲のみで構成されているのが熱いポイントだ。

『HADASHi NO STEP』
LiSA『HADASHi NO STEP』

 ダンスチャレンジ「#ハダシノステップ」が開催され、現在TikTokでも話題になっている表題曲の「HADASHi NO STEP」は、火曜ドラマ『プロミス・シンデレラ』(TBS系)の主題歌。LiSA×田淵タッグは名曲を数多く放ってきたが、地上波ドラマ主題歌を担う日が来ようとは……と新鮮に感じたファンも多かったことだろう。編曲を手掛けたのは、LiSAの楽曲には初参加となる島田昌典。島田らしくJ-POPのど真ん中を邁進するようなアレンジには、ブラスサウンド、スウィングのリズム、要所に配置された二拍三連など、ジャズの要素が散りばめられている。その軽やかな曲調は、『プロミス・シンデレラ』にある王道ラブコメの空気感にもマッチしていた。

 「HADASHi NO STEP」を制作するにあたって、LiSAは原作の漫画を改めて読み込み、主人公・桂木早梅(二階堂ふみ)の姿を想像したとのこと。LiSAが書いた歌詞は早梅目線になっていて、ラスサビ前、転調によりキーが一音下がるセクションで、一際素直な言葉が歌われているのが印象的だ。サビには〈いつか履けなかった ガラスの靴/いまはまだ裸足で踊れそうよ〉というフレーズがあり、楽曲のタイトルにもなっている“裸足”というワードが登場。“靴を履かず裸足のまま踊る(ステップを踏む)”というモチーフは、おそらく、『プロミス・シンデレラ』の作中にある男性キャラクターが早梅の足に靴を差し出すシーン(言わずもがな『シンデレラ』のオマージュである)から連想したものだろう。

 『シンデレラ』の世界では、王子様から差し出されたガラスの靴を履かなければ、2人はきっと結ばれず、物語はそこでおしまい。一方、〈いまはまだ裸足で踊れそうよ〉とガラスの靴を履かない選択を採りながらも、最後には〈言わせてよ i love you〉と愛の告白をするのが「HADASHi NO STEP」だ。恋の始まりは“王子様に見つけてもらった”が全てではないし、自分の足で人生を歩くことと誰かに恋して共に生きたいと思う気持ちは両立できる。つまりは、自分の心に素直になること、自分の弱い部分も認めて時には人に頼ることが大事なのだ――と、葛藤を経て答えを見出すまでの心模様がこの曲では歌われている。『プロミス・シンデレラ』の設定はかなり突飛なものだが、この物語で描かれる恋と人生の悩みは普遍的なものだ。芯は強いが、自分の感情を上手く外に出せずにいる早梅を解放させる「HADASHi NO STEP」は、性別や年齢などに関わらず、恋をして生きる全ての人の背中を押す一曲となり得る。

LiSA 『HADASHi NO STEP』 -MUSiC CLiP-

 「HADASHi NO STEP」のMVは9月5日に公開されたばかり。MVでLiSAたちが披露している振り付けは、BTS「Butter」の振付制作に参加したダンスクルー・GANMIが手掛けたもので、先日開設されたばかりのLiSA公式TikTokアカウントでは、LiSA本人によるダンス動画が投稿された。特に印象的なのは、左手をひらひらさせながら足を前に蹴る、LiSA自ら“おさかなダンス”と呼ぶ動き。また、歌詞とリンクした振り付けになっているのは、多くの人に踊ってもらえるよう、覚えやすくする狙いからだろうか。〈抱きしめてたいよね〉の箇所で自分の身体を両腕で包む動作が取り入れられているほか、サビのラスト、〈近づけば i love you ?〉での中指と薬指を折るハンドサインは、アメリカ手話(ASL)で「I love you」を意味するものだ。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アーティスト分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる