eillが兼ね備えたカリスマ性と親しみやすさ 堂々としたステージングで魅了したZepp DiverCityワンマン

eill、Zepp DiverCityワンマンレポ

 『eill Live Tour 2021「ここで息をして」』の追加公演が、8月13日にZepp DiverCityで行われた。彼女にとって過去最大キャパのワンマンライブだ。フロアを埋め尽くすファンの数や熱気からしても、注目度や人気の高さを開演前から実感する。開演時間になりバンドメンバーとeillが登場。EDM調のバラード「hikari」を繊細な表現で歌いライブがスタート。堂々としたパフォーマンスでファンを魅了する。今年メジャーデビューしたばかりとは思えないほどに、カリスマ性を感じる佇まいだ。

eill(写真=山川哲矢)

 しかしeillは親近感を抱いてしまうキャラクターでもある。「みなさん立ってみませんか!?」と笑顔で元気な煽りをしてから「MAKUAKE」へと雪崩込み、会場の空気を明るくする。そのまま曲間なしで「FUTURE WAVE」を続け、自然と客席からはクラップが巻き起こるほどに会場のテンションを上げていく。eillとバンドメンバーもサビで飛び跳ねたりと楽しそうだ。

 「手とか目とか声以外の手段を使って思いを伝えてくれたら嬉しいです」と語ってから竹内まりや「プラスティック・ラブ」のカバーを披露。マイクスタンドを使ったパフォーマンスに引き込まれる。そんなセットを使い動きを意識した魅せるパフォーマンスは続く。「((FULLMOON))」ではソファーに腰掛けながら歌い、ダンスグループGANMIと一緒に妖艶なダンスを披露した。「Night D」でステップを踏みながら歌うeillの姿も印象的だった。客席との一体感が高まっていく中披露された「ONE」では各メンバーのソロプレイを続けて披露する場面があったが、eillもバンドメンバーも心の底から音楽を楽しんでいるように見えた。

 ファンクナンバーの「FAKE LOVE/」とメジャー1stシングル「ここで息をして」で再びGANMIとのダンスパフォーマンスを披露し、会場のテンションを最高潮にしたeill。しかし彼女はダンスナンバー以外の、アコースティックな楽曲やバラードも見事に歌いこなす。ギターと歌だけで始まった「special girl」では「一緒に手拍子しませんか?」というeillの呼びかけにファンが応え、まるで客席の全員が演奏に参加しているかのような大きな音の手拍子が巻き起こる。コロナ禍で声を出せないものの、ライブはファンと一緒に作り上げていると感じる空気感だ。温かな空気に包まれた会場を笑顔で見渡しながら、キーボードの前に移動すると、バラード曲の「片っぽ」を優しくも感情的に歌う。音数が少ないライブアレンジになっていたこともあり、彼女の歌の凄みを改めて実感する。

eill(写真=山川哲矢)

 「最近は悲しいニュースや不安になることがたくさん起きている気がしていて、それが重力になって自分におしかかっている感じがします。ここにいるみんなも色々なものを抱えてここに来てくれたと思います」と今の世の中に対して感じることを赤裸々に語るeill。そして「私はみんなに頑張れなんて言えない。みんな十分に頑張っている。みんなが自分のスポットライトになれるし自分のヒーローになれる。この物語の主人公はあなただってことを覚えておいてください」と話を続け「SPOTLIGHT」が始まる。〈弱音は自分次第で ギャップだらけの夢物語 本当は信じたい〉という、Bメロの歌詞をアカペラで歌ってから演奏が始まった。この歌詞のフレーズこそ、彼女が今伝えたいメッセージなのかもしれない。

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