ロス「自主」、変幻自在なボーカルでバイラルチャート首位に 歌い手の在り方を覆す“新たな楽曲の広がり方”

参照:https://spotifycharts.com/viral/jp/weekly/latest

 Spotifyの「バイラルトップ50(日本)」は、最もストリーミング再生された曲をランク付けした「Spotify Top 50チャート」とは異なり、純粋にファンが聴いて共感共有した音楽のデータを示す指標を元に作られたプレイリスト。同チャートを1週間分集計した数値の今週分(8月5日公開:7月29日~8月4日集計分)のTOP10は以下の通り。

1位:ロス「自主」
2位:J.UNA「Butterfly」
3位:Girls Planet 999「O.O.O (Over&Over&Over)」
4位:millennium parade, Belle「U」
5位:KIMMUSEUM「We’re Already」
6位:The Kid LAROI「STAY (with Justin Bieber)」
7位:M&A, Бэтси「Симпл димпл поп ит сквиш」
8位:『ユイカ』「好きだから。」
9位:Night Off「Nevertheless」
10位:スーパーちょろゴンず「めいど・うぃず・どらごんず♥」

 ここ1カ月ばかり、バイラルチャートが毎週激しく変動している。トップ10圏内に先週とはガラリと変わった布陣が名を連ねるのが続いているのだ。今週も、ニューカマーが多数現れた。

ロス「自主」

 今週1位のロス「自主」は、いきなり頭突きを食らったようなインパクトある楽曲である。個々の中にある音楽に対する既存の概念が、揺らぐどころか崩れるほどの破壊力がある。聴いていると、例えばその歌声が男性なのか女性なのか……そんなことはどうでもよくなるほどに、聴く者の思考を停止させる圧倒的なエネルギーが最大の魅力だ。

 ロスは、17歳のシンガーソングライター&歌い手である。YouTubeをメインに活動を展開。オフィシャルYouTubeによれば、最初のアップロードは約2年前。カバーだけでなく、オリジナル曲も発表している。2021年最初のオリジナル曲がアップロードされたのが1月14日、「自主」の冒頭18秒である。アレンジもラフだが、ボーカルアプローチなどはこの時点で、ある程度見えていたのだろうと想像できるクオリティである。その後も己の中から湧き出てきたメロディを、歌詞とともにハイペースで投稿。2分近い曲もあるが、ほとんどが1分未満の楽曲。つまり曲の断片ばかりであるが、それだけでも十分オリジナリティがあり、リピートしたくなる中毒性も備えている。驚くのは、投稿を重ねるたび、目に見えて曲の幅が広がり、トラックと歌のクオリティも高くなっていることだ。特に4月に投稿された「ゆらゆら」は、主なバックトラックはビートとピアノだけだが、様々な声色を使い分けたボーカルで、感情の起伏とストーリー性を見事に表現している。

ゆらゆら

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