宮沢和史と又吉直樹、「八・八・八・六」で描く琉歌の世界を訪れる旅へ

宮沢と又吉、琉歌の世界を訪れる旅へ

又吉直樹、宮沢和史との旅をふり返って

芸人/作家 又吉直樹(ピース)
芸人/作家 又吉直樹(ピース)(写真=島袋常貴)

――旅をして、宮沢さんについて改めて感じたことは?

又吉「言語化されていない感覚みたいなものを言葉にする時は誠実で、軽はずみなことはおっしゃらない。体重が乗った言葉を使う人だと改めて思いました」

――又吉さんが宮沢さんから受けた影響は?

又吉「成長期に栄養価の高いものを食べることができたという感覚です。人間が不完全な生き物で醜い感情もあるということは、教科書に出てこないし、教えてもらえないから、宮沢さんの詩や音楽で純度の高い表現に触れたのはすごく大きかった」

――今回の旅で特に印象に残ったことは?

又吉「沖縄戦です。子どもの頃、南部戦跡で衝撃を受けましたし、この10年はいろんなところを回って、現在から戦争当時、その時間を行ったり来たりしていて。祖父母に直接関係があるし、父のきょうだいや親戚も亡くなっているから無関心ではいられない。今回の旅でも戦争に触れる琉歌がありましたけど、さらに昔の琉歌を知ることで、また沖縄戦の見え方が変わる感覚がありました」

宮沢「又吉くんは言葉の遣い手としての感覚がすぐれている」

音楽家 宮沢和史
音楽家 宮沢和史(写真=島袋常貴)

――又吉さんの琉歌はいかがでしたか?

宮沢「初めて詠んだとは思えなかった。又吉くんらしいなと思ったのは、たった三十音で小説みたいな広がりがあったこと。言葉の遣い手としての感覚がすぐれている」

――今回の旅を通して感じたことは?

宮沢「もう30年通っている沖縄だけど、改めて興奮する部分があった。特に今は、コロナの影響で沖縄に来たのも久しぶりで、僕の人生で、沖縄をこんなに遠く離れていると感じたことなんかなかったから」

――まさに今回紹介された「白雲節」のようですね。

宮沢「先日出したアルバムでも自分なりに解釈した現代語の歌詞をつけてカバーしています。僕にとって、歌うことでその歌の世界、沖縄の歴史や自然にふと迷い込めるような、沖縄の一部になれるような喜びも、琉歌の魅力だと思います」

――又吉さんも歌の中に時間の流れや物語があるとおっしゃっていました。

宮沢「現場に立つと、そこにはない景色が、ないからこそ見えるような気がすることがある。歌のチカラってすごいなと改めて感じました」

琉歌について語り合うふたり
旅の最後に、自分が詠んだ琉歌をしたためる
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■番組概要
沖縄ロマン紀行『宮沢和史・又吉直樹 “琉歌”巡り旅』(NHK BSプレミアム)
8月15日(日)23:20~24:19

沖縄ロマン紀行『宮沢和史・又吉直樹 “琉歌”巡り旅』
(NHKワールド・プレミアム/在外邦人向け・日本語チャンネル)
日本時間 8月19日(木)19:30~20:42
※北米地域では別途現地時間に合わせて編成

宮沢和史公式HP

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