ライムスター宇多丸、藤井隆らも熱視線! ジェンダーやジャンルを超える新時代の“DIVA” ゆっきゅん とは?

新時代の“DIVE” ゆっきゅんとは?

わたしとゆっきゅん

 私が彼を初めて知ったのは『ミスiD 2017』審査動画。その醸し出す雰囲気から大好きな作家・嶽本野ばらさんを連想していたら、プロフィールに「好きな本:嶽本野ばら」と書いてあり、それからもう目が離せなくなりました。

 映画をコンセプトとしたユニット・電影と少年CQ(以下、電少)。毎回のライブごとにオリジナルの脚本があり、演劇とパフォーマンスアート、少年と少女の関係性、耽美と皮肉、様々な要素をひたすらに美しく優雅なユッキュンとルアンの二人の肉体が実現します。

 電少とゆっきゅん個人の活動を約5年間見つめてきて、日々Twitterやブログに溢れる言葉、自撮り・他撮り画像を追ってきて、一度も「何か違う」と感じたことがありません。ゆっきゅんは、いつもゆっきゅんとして揺らがない。

 薔薇と宮殿と白タイツが似合う幻想の中の王子様であり、ファミレスとカラオケで何時間でも過ごせる最高におもしろい(脳内)友人でもある。

 地元の友達とファミレスのドリンクバーで話し込んで、全く話題が尽きなくてずっと抱腹絶倒でいつの間にか朝になってしまったあの時間を思い出させてくれる、そんなアイドル。ライブMCや特典会で見せる一瞬一瞬の言葉のチョイス。ZINEの膨大なテキスト。そしてトークイベントでがっつり喋る時間の、1分1秒に詰め込まれたとんでもない情報量。

DIVAにしか救えない孤独

「何を表現したとしても、「なりたい自分になる気持ち」を肯定したい。(中略)本当に誰にとって何のことでもいいけど、心に正直であることの後ろめたさを払いたい。」

 ZINE『apartment』004掲載(*4)のロングインタビューは、昨年10月収録。おそらく「DIVA Project」の準備が水面下で進められていた時期と思われます。

 自分が自分のままで光り輝くことで、ほかの誰かが勇気づけられると知っているゆっきゅん。その作品は、文化人やカルチャーに敏感な人だけに向けたのではなく、この世界に生きるすべての人に向けてフラットに開かれている筈です。

 「エリートの女性はどれほど輝いて見せても、普通の女性の明日を照らさない。それは「自分たちの不運と能力のなさを強調」し、自己評価を低下させ、抑圧をさらに重くするだけだ。普通の女の人がみな輝くことがだいじなのだ。だれもが、自分にもできると思い、自分の力を信じて生きる社会にしなければならない。」(*5)

 セクシーでファビュラスでギランギランに光り輝いているDIVAと、真夜中にずっと天井を見てるだけで「は〜なんもできん」と思っているDIVA。たった一人で世界と対峙し、孤独であることから逃げないDIVA。

 これまでずっとDIVAに救われて生きてきたゆっきゅん自身が、DIVAと成った今。全ての人の孤独の中にいるDIVAを解放し、ラメとスパンコールが降りそそぎミラーボールは回り出し、あなたがあなたのままで生きることを祝福してくれるでしょう。

■参考一覧
*1:TBSラジオ アフター6ジャンクション カルチャートーク:「ゆっきゅん」さん(“DIVA Project”について)https://open.spotify.com/episode/0myWx4jojwzzaVxHQQoeyE?si=4E2oz8b9T0arD5bTvvWX2Q&dl_branch=1
*2:スマホで聴けるラジオ「Artistspoken」https://note.com/nemoshuu/n/n4df374616570
*3:7/20 野中モモ×ゆっきゅん『イラストで学ぶジェンダーのはなし』(フィルムアート社)刊行記念 トークイベント https://online.maruzenjunkudo.co.jp/collections/j70019-210720
*4:1999年生まれの編集者が手掛けるファッションマガジン「apartment」の最新号発売 https://www.fashionsnap.com/article/2021-05-18/amartment004-magazine-new/
*5:『お姫様とジェンダー』(若桑みどり著/ちくま新書)

■松村早希子
1982年東京生まれ東京育ち。この世のすべての美女が大好き。

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