KinKi Kids、King & Prince、SEKAI NO OWARI……7月21日リリースより新譜5作をレビュー

雨宮天「フリイジア」 (初回生産限定盤)

 公式YouTubeチャンネル「雨宮天のてくてく天ちゃん」の開設、シングル『永遠のAria』(『七つの大罪 憤怒の審判』(テレビ東京)第2クールOPテーマ)のリリース、『テレ東音楽祭』(テレビ東京)への出演、そして、数々の有名アーティストが“一発撮り”の歌唱を披露してきた「THE FIRST TAKE」に出演するなど、今年に入り、アーティストとしての活動の幅を広げている雨宮天。ニューシングル曲「フリイジア」(TVアニメ『天官賜福』(TOKYO MX)エンディングテーマ)は、和のテイストをたっぷり注ぎ込んだ叙情的なミディアムバラード。包み込むような母性、壊れそうな繊細さを同時に描き出すボーカルからは、シンガーとしての着実な成長が伝わってくる。カップリングには、本人の作詞・作曲によるラテン系歌謡ナンバー「情熱のテ・アモ」を収録。(森)

雨宮天「フリイジア」Music Video - YouTube EDIT ver. - (『天官賜福』ED)
SEKAI NO OWARI『scent of memory』 (初回限定盤)

 プルースト効果で知られるように、匂いは過去の記憶と強く結びついている。音楽という媒体を介して、香りを表現し、リスナーの心のなかにある思い出や感情を呼び起こすーーというのが、SEKAI NO OWARIのニューアルバム『scent of memory』のテーマだ。坂本龍一とのコラボレーションによる“クラシック×ヒップホップ”「Like a scent」、“作詞・作曲・歌唱:Saori”による繊細な美しさに溢れたミディアムチューン「陽炎」、飛び跳ねるリズムと叙情豊かな旋律、かけがえのない“君”への思いが共鳴する「tears」などを収めた本作には、匂い立つようなサウンドや歌がたっぷりと反映され、聴く者の記憶を刺激する効果が宿っている。メンバーのクリエイティビティがさらに解放され、音楽的自由度を高めているのもこのアルバムの魅力だろう。(森)

SEKAI NO OWARI「tears」
清水翔太『HOPE』 (通常盤)

 現在進行形の海外のR&B、ヒップホップとリアルタイムで同期しながら、日本語の響きを活かしたソングライティングによって、J-POPの在り方を更新し続けている清水翔太。約3年ぶりのニューアルバム『HOPE』は、Taka(ONE OK ROCK)とのコラボ楽曲「Curtain Call feat.Taka」、Aimerをフィーチャーした「プロローグ feat.Aimer」、SNSでプロアマ問わずコラボ相手を募集した楽曲 「Lazy feat.ASOBOiSM, Kouichi Arakawa」などを収録。“それでも好きだった”という哀切な思いを有機的な音響とともに描いた先行配信曲「恋唄」、元恋人との繊細な関係を綴った「Side dish」をはじめ、清水翔太の真骨頂とも言えるラブソングもたっぷり収められている。共通しているのは、他者とのつながり。人と出会い、愛し、大切に思う。その感情のサイクルが希望につながるのだと、本作は訴えかけている。(森)

清水翔太 『Curtain Call feat.Taka』 MV

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。

■一条皓太
出版社に勤務する週末フリーライター。ポテンシャルと経歴だけは東京でも選ばれしシティボーイ。声優さんの楽曲とヒップホップが好きです。Twitter(@kota_ichijo)

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