浦島坂田船、K-POPアルバムに大差つけてチャート首位 スリリングなカウンターであり続けるためには課題も?

参照:https://www.oricon.co.jp/rank/ja/w/2021-07-19/

 今週のアルバムチャート、2位以下にNCT DREAM、BTS、2PM、SEVENTEEN、TWICEなど旬のK-POP勢が並びますが、彼らと大きく差をつけて1位に輝いたのは浦島坂田船の『L∞VE』。初週で6.6万枚という驚異のセールスです。人気がすごい。その純粋な驚きもありますが、反面、今も「うらしまさかたせん……って何?」と首を傾げる人も多いわけで、そこが最も驚異であり現代的。彼らの音楽は放っておいてもテレビやラジオから聴こえてくるものではないのです。

 かくいう私も、遅ればせながらその名前を初めて知ったのは2018年のこと。この連載のためにオリコンチャートを確認、宇多田ヒカル『初恋』を抑えて首位になっていた浦島坂田船『V-enus』を見て手が止まりました。「……誰なの?」と。

浦島坂田船『L∞VE』

 ざっと説明すると浦島坂田船はニコニコ生放送から個々で出発し、そのうち意気投合して4人組になったボーカルグループ。投稿動画は歌に限らず、生放送トーク、ゲーム実況、ものまね、ボイスドラマなど多岐に渡り、“声を使ったエンターテインメント”のためなら何でも楽しませるのが基本スタンス。歌手とタレントと声優を兼任できるマルチプレイヤー集団をイメージするといいかもしれません。

 アーティスト写真やジャケットなど、ビジュアルは基本イラストですが、ネットの専門チャンネルやライブでは普通に顔出しアリ。このあたりは2.5次元舞台の先駆けといえるし、アイドル的存在でありつつ、より身近なYouTuberのような親近感もある。さらにいえば、もともと4人が仲良しで、好きなことを続けていたら喜んでくれる仲間が増え、気がつけばデビューしていたというストーリーが古き良きリアリティ番組のようでもあります。ヤラセなし。「いいね」たくさん。推し要素は無限です。

 浦島坂田船に夢中になってしまえば、大手事務所主導のオーディションも古い体質に見えてくるはず。素人が、好きなことを好きなように発信し、大人不在のままシーンを作って世の中をひっくり返す。カウンターカルチャーとしてこれほど小気味いいものはありません。ボカロPは無名のアマチュア作曲家が飛び立つ土台を作りましたが、ここまで総合エンタメ的なグループは生み出せなかった。動画投稿カルチャーが時間をかけて普及・一般化してこそ生まれた存在なのだなぁと感銘を受けます。



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