和ぬか、神野メイ……バイラルヒットの中でも目を引く歌詞 言葉にできない“本音”を歌う恋愛ソングに支持集まる?
両者に共通するのが、表には出しづらい恋愛感情を描写しているということだ。酔った勢いで一夜限りでもいいから関係を持ちたいという自分の本音を伝えられない純情な女性が主人公の「寄り酔い」。他方で、好きなことを気付いて欲しくてたまらないが、言い出せずに時間だけが過ぎていく2人の関係を女性目線から描いた「クリームソーダとシャンデリア」。どちらも恋愛における女性側の本音を歌ったことで支持されているように思う。
ヒット曲から見えてくる、人々が求める“何か”。それがバイラルヒットには顕著に表れるように思う。そう言えばつい先日、Spotifyの「バイラルトップ50(日本)」で西野カナの作品が週間チャートを席巻していたことがあったが(※1)、まさしく彼女こそ恋愛における女性側の本音を歌って支持を得たアーティストであった。
ここ何年か、恋愛ソングというのは各種音楽チャートにおいて他のタイプの作品と比べると存在感が薄くなっていた印象がある。個性の尊重、人生論的なテーマ、聴き手の孤独に寄り添う歌、情報化社会の悲喜交交、あるいは応援ソングなど、昨今の多様化したポップソング市場で恋愛ソングはある意味一つのサブジャンルと化していたように思う。しかし今再び、バイラルチャートを見渡すとこうした恋愛における本音や等身大の感情を歌った作品が席巻しているのだ。
※1:https://realsound.jp/2021/06/post-786897.html
■荻原梓
J-POPメインの音楽系フリーライター。クイックジャパン・リアルサウンド・ライブドアニュース・オトトイ・ケティックなどで記事を執筆。
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