中納良恵×折坂悠太「待ち空」対談 コラボで体験したこれまでにない感覚、二人が思う“理想の歌”

中納良恵×折坂悠太「待ち空」対談

 中納良恵が、6月30日にソロアルバム『あまい』を発売した。

 前作『窓景』から約6年ぶりとなる本作は、シンガーソングライター・中納良恵の歌声と言葉をじっくりと堪能できる作品だ。優しさに満ちた音楽の世界を進んでいくと、6曲目に収録されているのが、シンガーソングライター・折坂悠太をゲストボーカル&ギターに迎えた「待ち空 feat. 折坂悠太」。息を呑むほど繊細なピアノの調べとともに聞こえてくる折坂、中納それぞれの引き込まれるような歌声がひときわ印象を残す楽曲である。

中納良恵「待ち空 feat.折坂悠太」ミュージックビデオ

 今回リアルサウンドでは、中納良恵と折坂悠太による対談を企画。コラボレーションの経緯から実際に歌を歌うことで発見したお互いの共通点など、歌い手ならではのテーマを語り合ってもらった。(編集部)

二人でOKテイクを歌った時、何か大きな力が働いたような気がした

ーーお二人はどこで知り合ったんですか。

中納:存在は知っていたんですけど、2年前に弾き語りのライブを見させてもらって、持っていかれてしまった。“ワーッ”てなってしまって、アルバムを作るとかは関係ないにしても、何か一緒にやらせてもらえたら嬉しいと思って。その頃はEGO-WRAPPIN’が忙しかったのでソロはできなかったけど、ライブにお誘いさせてもらうとか、めっちゃやりたいと思ってました。

折坂:そのライブの時に中納さんが来てるらしいというのはスタッフから聞いてたんですけど、挨拶はできなくて、(耳に手を当て)「なんて言ってました?」みたいな(笑)。「良かった」と言ってくださったと聞いて、楽屋で盛り上がった覚えがあります。EGO-WRAPPIN’は聴いてますし、中納さんのソロ初作『ソレイユ』が、まだ人前でライブをやる前にめちゃくちゃ聴いてたアルバムで。

中納:そうだったんですか。

折坂:EGO-WRAPPIN’の時とソロの時の中納さんの違いみたいなものに、多分自分が一番理想とするかたちに近いものを感じたんです。EGO-WRAPPIN’のライブでワーッとかっこよくできる一方で、ソロではじっくり聴き込んでしまうものをやっている。それを行ったり来たりするのが、すごいなあと思っていました。

中納:嬉しい限りです。

ーーじゃあ実際にお会いになったのは?

中納:私が本格的にお願いして事務所に伺った時ですね。

折坂:そうですね、事務所に来ていただいて。私は「のろしレコード」というユニットをやっているんですが、その相棒の夜久一(やくはじめ)さんというシンガーが、もともと中納さんを知ってたんですね。

中納:そうなんです。

折坂:それで、夜久さんから「中納さんが曲を作って欲しいと言ってる」と聞いて、それは恐れ多すぎると思って戸惑ったんですが、改めて中納さんから直接お聞きしたら、作曲ではなくて歌で、ということだったので、それならと。

中納:一緒にやらせてもらえるんであれば、どういうものがいいかなと思って、作ったのが「待ち空」。どういう風に返ってくるのか楽しみにしながら作りました。折坂さんは歌詞の世界観とかも独特だから、私としてはシンパシーを感じる。斬新だし、新しく感じるけど懐かしい。この人には手垢のついた言葉を歌わせたくない、という気持ちになって、歌詞はすごく考えちゃったんですけど。鹿児島に弾き語りのライブに行って、コロナでどこも行けないから、久しぶりに桜島とか行って。帰って来たその日に一気に書けたんですよ。桜島パワーというか。そういう大きな力をもらって、折坂さんに歌ってもらう曲ができたんです。

ーーお互いの第一印象はどうだったんでしょう。

中納:歌ってる雰囲気と普段とのギャップがある。

折坂:全く同じことを思いました(笑)。

中納:(笑)。なんか、安心した、こういう方でよかったなあ、そうだよなあって。

折坂:全く同じです(笑)。

ーー折坂さん、最初に「待ち空」を聞いて、どう感じました?

折坂:すごくいい曲だなと。でも、誰かと何かをやるのは緊張する。中納さんは憧れなので、最初に話をもらった時に「何ができるだろう?」という気持ちがあって。でも、中納さんもそうかもしれないけど、打ち合わせの時に初めてお会いして、音楽を聴いた時に、「こういう曲を書いてきていただいているから、それに乗っかれば大丈夫だな」という安心感というか、音楽が連れてってくれる、大丈夫だなと思いました。

中納:コラボってしたことあります?

折坂:あまりしてないです。リリースしたもので客演というのは2回目。映像に出たりすることはありますけど、あまり経験もない。

中納:あ、そうなんだ。

折坂:人と歌うとなった時に、声が、結構扱いづらいというか。

中納:パンチありますもんね。

折坂:そうなんですよ。それで人と二声で歌うのは不安だったんです。中納さんとは録音してても思ったんですけど、僕がどこまでやっても、中納さんについていけばいいんだという安心感がやっぱりすごくありました。

中納:いえいえ、私もレコーディングの時には、包んでいただきました(ハグポーズ)。はじめ、私がピアノを弾きながら歌うのに自信がなくて、ピアノを先に録ることにしたんですけど、折坂さんがピアノに合わせて歌う感じになってしまって、これは良くないなと思って。その後、改めてピアノと歌を一緒にやらせてもらうことになって私も「間違ったらあかん」って緊張してたんですけど、「大丈夫」みたいなオーラが出ていて(笑)。

折坂:そんな(笑)。すごく自然でしたよね。

中納:「大丈夫、来てください」みたいな感じで。私はすごく温かさを感じて、飛び込んだらええんか、みたいな気持ちになって心地よかった。

折坂:中納さんがピアノを弾いて歌うことになって、1番だけやってみようかって録音したものがOKテイクになった。音を録る時に最近思ってることなんですけど、人間の感覚って、気分とか見えてるものとか、細かくいろいろ作用があって、聴こえてくる。その時出ている音に反応して歌うって自然なことだけど、それが一人でやってるとなかなか、フワーッと立ち上がってくるみたいなことってないんです。だけどOKテイクを録った時は、あんまり体験したことないようなことが自然と立ち上がって来て。

中納:ちょっと神々しいというか、何か大きな力が働いたような気がしましたね。

折坂:最初からそれを目指していたんじゃなくて、いろんな調整をしていって。最初からマジックを起こすみたいな感覚じゃなかったからできたんだろうな。

中納:そうですね。

折坂:面白い体験でした。

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