BTS、ポジティブな存在感で世界を変えるグループに? インタビューの発言から伝わるメンバーの心情

『Rolling Stone Japan vol.15』
『Rolling Stone Japan vol.15』

 BTSが『Rolling Stone』誌の表紙を飾り、6月25日にはインタビューの日本語訳をノーカット掲載した『Rolling Stone Japan vol.15』が発売された。『Rolling Stone Japan』のWEBサイトではメンバーによるソロインタビューの翻訳記事を順次公開。発売日までのカウントダウンを盛り上げた。

 アジア人グループが表紙を飾るのは、1967年に米国で創刊されて以来、初のこと。年々大きくなっていくBTSの、さらなる一歩を見届けるような気持ちだ。本誌では、メンバー7人の個性が集うところから、世界的な成功を収めるまで歩みを振り返り、近づいている兵役についての話題、そしてARMY(ファン)との絆について語られている。本誌の俯瞰的な語り口と共に、メンバーのソロインタビューを合わせて読むと、より深く彼らの心情に迫ることができる。

 RMの才能とカリスマ性の発見からスタートしたBTSのプロジェクト。ラッパーか、それとも「アイドル」と呼ばれるポップスターになるか、RMは新たなアイデンティティを模索し続けたと明かす。一方、ネガティブな感情や両親の反対をバネに、高いラップスキルを磨いていったSUGA。ダンスには定評がありながら、未経験からスタートしたラップを彼らしい明るいスタイルへと昇華させたJ-HOPE。

 路上でスカウトされ、「僕には欠点が多い」と1から音楽的スキルを地道に習得していったJIN。デビュー前「隠れメンバー」となりプロモーションには登場せず、BTSの完全体を印象づけるキーパーソンとしてお披露目される使命を背負ったV。常に高い期待を自分に課し、BTSを「彼ら(ARMY)のひたむきな情熱に応えるためにも、ミスを犯すわけにはいかない」と完璧主義な姿勢を貫くJIMIN。そしてBTSというグループと共に、少年から大人へと人間的にも成長を遂げていったJUNG KOOK。

 原石の才能が磨かれていった練習生時代。それぞれが乗り越えた苦悩。7人で過ごしてきた濃密な時間。そして、世界制覇を果たした先にも尽きることのない成長意欲……。リアルタイムで彼らを追っていた人にとっては一つの区切りとして振り返ることができ、そして最近BTSを好きになった人には一気に知ることができる、必読記事といった充実ぶりだ。

 なかでも興味深く思ったは、その見つめる視点が韓国や日本のメディアとは少々違う空気を放っているように感じられたこと。記事の冒頭から、RMが「僕たちはアウトサイダーです」と話している点からも、ホームである韓国や多くのK-POPアイドルが活躍する日本でのインタビューとは異なるスタンスが伝わってくるからだろうか。

 日頃、流暢に英語を駆使して会見やインタビューをこなしているRMだが、会話の内容が複雑になる取材の際は、通訳をつけることにしているという。そして、今回のインタビューにも通訳を伴って答えていることが記されている。

 「マイノリティに属する人々が、僕たちという存在からエネルギーと勇気を少しでも受け取ってくれたらと思っています」(※1)。先述したとおり、創刊以来『Rolling Stone』誌の表紙を飾ったアジア人グループがいなかったということは、それだけ米国音楽市場において彼らのようなアーティストが成功を収めるのは簡単ではなかったということ。

 BTSが今回表紙を飾った背景には、ヒットソングを歌う人気グループというだけではなく、そのポジティブな存在感が世界を変えていくのではないかという期待を集めているようにも感じられる。インタビューは彼らの成長に伴って、世界が変化していることにも言及。全編英語詞の「Dynamite」はBillboard Hot 100で通算3回も1位を獲得。第63回グラミー賞にもノミネートされ注目を集めた。

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