BTS、各国でのテレビパフォーマンスが与える印象 ボーイズグループに求められるものの違いが明確に

 アメリカ進出を本格的に実現してからのBTSは、さらにカリスマ性に磨きがかかったように感じる。何と言っても、ニューヨークのグランドセントラル駅や韓国の遊園地・エバーランドでのロケなどの豪華な空間でのパフォーマンスを実現させたことが大きい。こうした演出はこれまでにもあったものの、映像全体の臨場感や迫力からはアメリカのTV番組ならではの映像美を感じる。その他のアメリカでのパフォーマンスを見ても、歌やダンスなど、一つの要素にフォーカスしない印象を受ける。これは、アメリカのTV番組がパフォーマンスだけを放送するものではなく、トークやコーナーの比重もそれなりに大きいため、キャラクターそのものに魅力を感じる人が多いからではないかと思う。そのため、これまでBTSのスキルの高さを際立たせてきた楽曲の世界観が、各番組で最大限に演出されているのが、日韓の音楽番組との違いであると言える。その上で、アメリカのTV番組でも、BTSの強みの1つである息の合ったパフォーマンスでしっかり歓声を得ているのである。また、BTSは国連総会でのスピーチが話題になったり、最近ではマクドナルドとコラボするなど、音楽シーンにとどまらない影響力をつけてきている。

BTS Performs "ON" at Grand Central Terminal for The Tonight Show
BTS (방탄소년단) 'Dynamite' @ America's Got Talent 2020

 このように、韓国、日本、アメリカのそれぞれのステージでは、注目されるポイントや映像そのものが微妙に異なり、それは国ごとに視聴者がボーイズグループに求めるものの違いからきているのではないかと思う。その一方で、BTSのパフォーマンスの在り方やステージ衣装にはあまり差異がなく、各国でBTSのオリジナリティが認められていると言える。「Butter」のパフォーマンスが披露されていく中で、国を問わずBTSの個性が確立されつつことを感じる。今後はBTSに限らず、複数の国の文化が混ざり合って、唯一無二のエンターテインメントが展開されていくことに期待したい。BTSに続いて国を跨いで活躍をするアーティストが誕生すれば、視聴者の楽しみ方も一層細分化されていくことだろう。

■momotoxic
ブロガー。自称”楽曲派”。Twitter:@momotoxic1006

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