V6「over」リリースから22年ーー大根仁、「僕らは まだ」MVで捉えたメンバーの現在
「over」のリリースから約22年。「僕らは まだ」に映るV6は、当時と比べて渋さを感じる。潮風に吹かれて物憂げな表情の森田。三宅の目に映るはどんな景色か。長いようなあっという間のような26年。少し目を細めて遠くをみつめるメンバーの表情には深みがある。海をバックに森田から一人ずつメンバーが増えていく。そして、カミセン、トニセンと3人の映像。
歌詞には、子どもの頃に描いていた理想には届かないリアルな心情が綴られている。年齢を重ねても未完成な自分、でも俯瞰できているのも年齢を重ねたからこそ。胸の内を優しい歌声にのせる。彼らの心境と重ねたり、また聴く側の境遇とを照らし合わせて共感を覚えた人も少なくないだろう。
海を背景にして佇む6人。言葉はないが、表情や姿……その余白にこれまでの様々な場面、今回の大きな決断を重ねてしまう。かつてビリヤードで遊んでいた青年たちは、時を経ても海をバックに相撲をとったり、押し寄せる波に慌てたり。自然体な、変わらない姿も収められている。一人ひとりにフォーカスすると、目じりには皺が入っている。たくさん笑ってきた勲章のようだ。(三宅を除いてだが)
『連続ドキュメンタリー RIDE ON TIME』(フジテレビ系)で、V6に密着した回が放送された。そこで岡田はカメラを構え、メンバーならではの距離感でシャッターを押していた。デビューから25年を超え、その気になればセルフプロデュースもできるであろうV6による指名。そこにはメンバーだからこそみせる、安心した様子の表情を捉えていたのが印象的だ。改めてカメラに映った彼らの姿に、監督はどんなことを思ったのか。
「僕らはまだ 未完成さ どんな色にでもなってゆける」ーー横一列に並ぶ姿に、少々の寂しさを感じつつも、6人で歩き出す姿には、「物語はまだまだ続く」そんな前向きなメッセージを受け取った。初回盤Aに付属のメイキング映像にはどんな表情が収められているのか、こちらも楽しみだ。
■柚月裕実
Web編集者/ライター。企画、担当編集、取材・執筆してます。
日本の男性アイドルの頑張りを見ては涙する30代。
始まりはSMAP中居さん。 KAT-TUN、NEWS中心の事務所担。年中HDDの整理と原稿書きに追われています。