GARNiDELiA MARiA、ソロアルバム『うたものがたり』で浮かび上がるボーカリストの輪郭 多様な楽曲でも揺るがぬ芯

MARiA『うたものがたり』レビュー

 結成から10年が経ち、昨年リリースした5thアルバム『起死回生』にて第2章の幕を開けたGARNiDELiA。今後の展開が期待される中、5月26日にボーカルのMARiAが初のソロアルバムとなる『うたものがたり』を発売した。このアルバムは、今年3月に開催されたGARNiDELiAのワンマンライブ『stellacage 2021 steps&claps』にて事前に発表されていたもので、豪華な作家陣を迎えた10曲の“ものがたり”が収められている。

【XFD】MARiA Solo Album「うたものがたり」【全曲紹介】

 まず1曲目の「コンコース」。いわゆる遠距離恋愛の歌で、2人の距離は縮まらずそのまま別れてしまうという切ないラブソングだ。楽曲提供は人気バンド・wacciの橋口洋平。歌詞に〈スタンプ〉や〈LINE〉といったワードが用いたことで、遠距離恋愛という普遍的なテーマを今風に更新している。サウンドはピアノを中心としたシンプルなアコースティックバラードで、アルバムの冒頭にこの曲を持ってくるあたりに、MARiAという歌手の真骨頂が見て取れる。

【MV】MARiA 「コンコース」【うたものがたり】

 2曲目は打って変わって“大和撫子な薫り”漂う「憐哀感情」。いきものがかりの山下穂尊が提供したこの曲は、〈孤独から逃れたいくせに 儚い愛を歌っている〉と儚さを求め続ける主人公の情念を、哀愁を帯びた情緒的な節回しに乗せて感情たっぷりに歌い上げている。また、3曲目の「ガラスの鐘」もどこか哀愁を持った情熱的な一曲。〈私はあなただけのもの〉と相手へ向かって強く(やや重めに)愛情を伝える姿が印象的だ。

 中盤に入ると曲調に激しさが増し、MARiAのボーカルスキルがより一層際立つ。LiSA「紅蓮華」の作曲者として知られる草野華余子が提供した「おろかものがたり」は疾走感のある力強いロックチューン。畳み掛けるように乱高下するメロディを見事に歌いこなす。かと思えば、山崎まさよしが提供した「マチルダ」ではゆったりとしたマイナー調のフォークロックサウンドに身を任せるようにして歌う。どのタイプの楽曲も華麗に乗りこなしていくその姿は、まさに〈流離う旅人〉のようだ。

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