ACIDMAN、配信ライブで発売前のアルバム曲披露 迫力ある映像演出が可能にした新しい楽曲の届け方

「ACIDMAN ニューアルバム配信ライブ」レポ

 50分のライブでバンドは8曲を演奏。なお、“ほぼ全曲新曲”と銘打たれていたのは、シングルとしてリリース済み=初披露の新曲ではない「Rebirth」と「灰色の街」も演奏されたから。以下、他の6曲について記述していきたい。

ACIDMAN(写真=Taka"nekoze_photo")

①「Visitor」
心拍音SEが終わったあと、1曲目に演奏された曲。最初は抜け感のある雰囲気だが、どんどんエネルギッシュになっていく様に胸が熱くなる。特にボーカルのロングトーンのあと、アウトロに入り、バンドサウンドが激化するシーンは、光が溢れるような映像演出との相乗効果もあり鮮烈だった。

ACIDMAN(写真=Taka"nekoze_photo")

②「歪んだ光」
硬質なキメとギター&ベースリフから始まるアッパーチューン。全体的にソリッドで、モノクロの映像エフェクトがよく似合う。佐藤雅俊(Ba)&浦山一悟(Dr)と大木が交互に〈I don’t care〉と声を張るBメロは特に力強い。Bメロのインパクトが強いからこそ、“2番ではAメロ後すぐにBメロに行かず、長めの間奏に入る”という構成が効いていた。

③「Link」
ミニマムな響きのインスト曲。「Rebirth」、「灰色の街」を経て5曲目に演奏された。ドラムとベースは同じフレーズをループ。大木はループマシンを使い、そこに鍵盤の音を重ねていく。

④「ALE」
株式会社ALEの人工流れ星プロジェクト「Sky Canvas」を知った大木が、「人類はなんて素晴らしいことを考えるのだろう」と感動したことから作られたバラード。しっとりとした歌い出し、ギター/ベース/ドラムのフレージングが小気味よく噛み合うイントロ~Aメロ、大きく飛翔するサビ、コーラスが加わることで生み出される神秘的な空気……と、ドラマティックに展開していく。変化していくサウンドに合わせて、LEDには流星、星の軌跡写真、ビックバンなどが投影されていた。

⑤「素晴らしき世界」
MCを挟み、7曲目に演奏された曲。歌い出しはボーカル+アコースティックギター+フィンガースナップで、サビでバンドイン。全体的にオーガニックな響きの曲で、LEDには自然の風景が映る。しかしよく聴くと人間の業に肉薄するような言葉も歌われていて、単なるやさしい曲として消化することはできない。

ACIDMAN(写真=Taka"nekoze_photo")

⑥「innocence」
最後のMCで「人は生まれたときは真っ白で、幸せや喜びを感じるために生まれてきたはずなのに、嫌な思いをしたり、誰かに嫌な思いをさせたりすることによってどんどん汚れていってしまう」という趣旨の話のあと、「それは当たり前かもしれないけど俺はそうは思いたくないなという思いがありまして、やはりどんどんクリアになっていきたいと思っています」「こんな綺麗事を歌い続ければ世界は少しだけ……もっともっと美しくなるんじゃないかなと祈りを込めて」と語った大木。その想いが託された表題曲はおそらくアルバムを象徴する曲だ。ACIDMANの得意とする壮大なミドルバラードで、宇宙の映像が3人の演奏に掛け合わせられた。

 なお、アルバムにはあと2~3曲収録予定で、「もう少し時間をかけたい」という理由から今回は演奏しなかったとのこと。最後のピースが揃ったとき、いったいどんなアルバムが出来上がるのか。来たる新作への期待が膨らむ。

■蜂須賀ちなみ
1992年生まれ。横浜市出身。学生時代に「音楽と人」へ寄稿したことをきっかけに、フリーランスのライターとして活動を開始。「リアルサウンド」「ROCKIN’ON JAPAN」「Skream!」「SPICE」などで執筆中。

■セットリスト
Visitor
歪んだ光
Rebirth
灰色の街
Link
ALE
素晴らしき世界
innocence

■配信情報
ACIDMAN ニューアルバム配信ライブ
配信日:2021年5月21日(金)
時間:OPEN18:30/START 19:00
アーカイブ配信:本配信終了後~2021年5月31日(月)23:59(※)
※「Streaming+」のみ、2021年5月27日(木)23:59まで

特設サイト
http://acidman.jp/tour/newalreleasestreamlive/

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