乃木坂46 3期生が築き上げた自分たちだけの物語 初単独ライブから『9thバスラ』までの歩みを辿る
乃木坂46 3期生が、今日に至る人気を名実ともに知らしめたのは、今からちょうど4年前のことだ。
『お見立て会』『3人のプリンシパル』と先輩たちが通ってきた登竜門を一つひとつ経験していった3期生は、初お披露目から約5カ月にして『3期生単独ライブ』を開催。今は無き会場のAiiA 2.5 Theater Tokyoにて、6日間全8公演にわたって開催されたそのライブは、当時熾烈を極めるチケット倍率が大きな話題となっていた。「期生」という冠がついた乃木坂46史上初めての期別ライブは、グループに新たな風が吹いていることをファンに意識づける出来事でもあった。後輩である4期生もまた『お見立て会』『3人のプリンシパル』『4期生単独ライブ』という流れを(開催タイミングも含めて)辿っていることを考えると、乃木坂46の歴史は「3期生以前、以降」とも言える。
そんな3期生が、5月9日に幕張イベントホールにて『乃木坂46 9th YEAR BIRTHDAY LIVE ~3期生ライブ~』を開催した。乃木坂46は毎年デビュー記念日である2月22日の前後で『BIRTHDAY LIVE』を行ってきたが、今年はその一環として期別ライブも開催。堀未央奈の卒業前ラストステージでもあった3月28日の2期生ライブ、メンバーがメンバーをプロデュースするかつてないほどに自由なライブとなった翌日29日の1期生ライブ、5月8日の4期生ライブは1期生がグループ初期に経験してきたライブ演出に挑戦した意欲的な公演となった。
期別ライブのトリを務める3期生が4年ぶりのライブで示したのは、「パフォーマンスの進化」「乃木坂46の歴史の継承」「12人の絆」である。
ダンスインストからスタートしたファーストブロックは、3期生曲を立て続けに披露していく構成。「三番目の風」から始まるのは4年前と同じであるが、緊張の色が隠せなかったあの頃とは違って、自信に満ちた12人がそこにはいる。そのセンターを務め、泣いてばかりいた印象の大園桃子は、この4年間で最も成長したメンバーかもしれない。
「未来の答え」は久保史緒里と山下美月のダブルセンター、「トキトキメキメキ」は岩本蓮加、「自分じゃない感じ」は山下、「僕の衝動」は伊藤理々杏、「毎日がBrand new day」は久保と全6曲が全て違った組み合わせのメンバーがセンターを務める。セットリスト全体に目を通せば、この日のライブは12人全員が単独センターに立つ構成となっていた。特に与田祐希の「帰り道は遠回りしたくなる」、阪口珠美の「My rule」はそれぞれの憧れの存在である西野七瀬、樋口日奈がオリジナルのセンターに立つ楽曲。佐藤楓は、中田花奈がかつてセンターを務めたアンダー楽曲「三角の空き地」のセンターというのも、彼女の思いや覚悟が透けて見える選曲である。12人それぞれが乃木坂46の歴史を内包したセンターを務められるようになったのは、この4年間における成長の印だ。
「ハルジオンが咲く頃」「白い雲にのって」は2017年2月の『乃木坂46 5th YEAR BIRTHDAY LIVE』の映像をインサートし、その4年余りの月日からの成熟を分かりやすく意識させたものであった。中でも筆者がこの日のライブで最もパフォーマンスの進化を感じたのは、アンコールで初披露された3期生楽曲「大人たちには指示されない」だった。6月9日リリースの27thシングル『ごめんねFingers crossed』に収録されるこの新曲でセンターに立つのは岩本。振付を担当したCRE8BOYもその難易度の高さを認める同曲は、目まぐるしく立ち位置が変わるフォーメーションと激しい振付、12人の息の揃ったダンスが重要な鍵となる。タイトルにも表れているように、楽曲が伝えるメッセージは「大人たちへの反抗」。サビでは斜めに並んだ列から岩元が一人抜け出し先導を切る。3期生楽曲としては「僕の衝動」以来に激しく、パフォーマンスの進化が問われる瞬間が、この「大人たちには指示されない」であった。