KinKi Kids、ともにセンターが似合う絶対的主人公の2人 “当たり前”の奇跡を実感する『O正月コンサート』を観て

 2021年4月28日、KinKi Kids単独初の配信ライブ『KinKi Kids O正月コンサート 2021』のBlu-ray & DVDがリリースされた。鏡もち姿で歌うKinKi Kids(以下、キンキ)のCMが話題だが、それだけではおそらく伝わらないであろう肝心の内容について触れていきたい。

"KinKi Kids O Shogatsu Concert 2021" Live Digest Video

ステージへのこだわりはそのまま、収録配信だからこその工夫も

KinKi Kids
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 生バンドとオーケストラによる重厚なサウンド、精密で美しいライティング、凝ったカメラワークや衣装をはじめ、ステージへのこだわりはそのままに、収録配信だからこその工夫も取り入れた見どころ尽くしのライブだ。

 オープニングから「Cool Beauty」「Natural Thang」と、ライブでは久しぶりの披露となる曲が続く。「Natural Thang」はバンドアレンジが映え、色気のある表現に聴き入ってしまう。「Bonnie Butterfly」「Misty」の流れも秀逸だ。キンキらしさと歴史が詰まった絶妙なセットリストに、のっけから最高潮を更新していく。

 2画面で魅せた「彗星の如く」。パフォーマンスにはそれぞれの個性が光る。「100年後の空にはなにが見せるんだろう」では、曲が放つメッセージと包容力、どこまでも重なるユニゾンに胸が熱くなった。剛の笑顔が印象的だった「STARS」。画面越しでも、心は繋がっていると確かに感じられた。

 「Missing」「光の気配」「道は手ずから夢の花」と続くスローナンバー。ノスタルジックなサウンドに、ぬくもりや希望を感じる選曲だ。フルオーケストラアレンジによる「スワンソング」はただただ圧巻。迫力を増したドラマティックなイントロに鳥肌がたつ。まるで歌劇を観ているような、贅沢な時間だ。

 「Time」「Glorious Days ~ただ道を探してる」は、同公演で新たな顔を見せた楽曲といえる。原曲が素晴らしいのは言わずもがな、開放的なサビの響きがオーケストラの演奏に乗り、より壮大に広がってゆく。「Glorious~」の後半で聴かせる光一と剛のかけ合いには、熱いものがこみあげてくる。

 2010年にリリースした2人の共作曲「Family ~ひとつになること」。あれからずっとこの世界は落ち着かず、“ひとつになること”というメッセージに都度、ハッとさせられる。2021年もまた、優しくも力強いユニゾンが、新しい響きをもって心を温めた。

 キンキの“もうひとつの原点”ともいえる「Kissからはじまるミステリー」、デビュー曲「硝子の少年」と続く構成もニクい。20年と少しの時間を、一瞬で巻き戻す。青く儚い、けれど眩い曲。何度聴いても、名曲だ。

 2020年春の緊急事態宣言下に、剛が歌詩を綴った「新しい時代」。歌唱前に2人は、言葉を選びつつも今この時代への率直な想いを語った。昨年春より、リリース時より、もっともっとリアルな“孤独”が多くの人を襲う“いま”。美しい旋律と真摯な歌声に“また会えるその日”を想う。

 同曲の壮大なエンディングに涙腺が緩んだ次の曲こそ「Happy Happy Greeting」。詳細はCMのとおりである。ポーカーフェイスを崩すことなくポージングをするさまや、小刻みにリズムをとるさまがシュールだが、それでいて歌は抜群にうまいのだから感情が追い付かない。

 どんな時代にあっても、最後には笑う。それがエンタテインメントであり、KinKi Kids。こんな2人だからこそ、長く長く愛されるのだと思う。

 なお通常盤DVDにはSPECIAL REELとして「Anniversary」「愛のかたまり」を収録。いずれもキンキを代表する曲だが、アレンジや映像美を含めたライブでの表現、そして今の彼らの歌声をぜひ聴いてほしい。

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