DOBERMAN INFINITY、『泣くな研修医』主題歌は“新たな場所への挑戦” MVに描かれた聴き手一人ひとりの物語

 さらに、公開中のMVでは「konomama」のメッセージ性がドラマとはまた異なる形に拡張されている。椅子に腰かけているメンバー5人がいる室内で、SWAYがおもむろにレコードをかけると、曲の再生と同時に突然そこに出現した“あるキャラクター”の物語が始まる。そのキャラクターとは、なんと“棒人間”だ。棒人間は室内を自由に動き回り様々なモノに触れ、メンバー達にもそれとなく助けられながら歩みを進めていく。粗い線で描かれた手のひらサイズの棒人間の動作は終始コミカルで愛らしく、また実写とのミスマッチ感にも微笑ましさがあり、心温まるような作品となっていた。

DOBERMAN INFINITY「konomama」Official Music Video

 ドラマ、歌詞、そして顔すら描かれない棒人間の物語ーーこれら全てに共通するのは、受け手に向けて「これは“あなた”の物語だ」と伝えることを主眼とした表現が積み重ねられている点だ。ドラマ内で主人公・隆治が様々な人間関係の中で邁進していくように、詞における主人公が〈キミ〉の存在に支えられ新たな一歩を踏み出していくように、MV内の棒人間はメンバー達の助力を得ながら、新しい場所へ次から次に飛び込んでいく。そして最後には「konomama」の詞が書かれていたページが丸められた紙屑を踏み越え、部屋の外へ向かうのだ。この描写については受け手によって解釈が分かれるところかもしれないが、少なくとも確かなのは、たとえ音楽が流れているその一時の間だけでも、そこにあるメッセージを受け取り「自分は孤独ではない」と思うことができれば、それがまた新しい世界へ進む力にもなり得るということだ。誰もが先の見えない不安や答えのない葛藤の中、他者に助けられながら生きている。そのことを真摯に楽曲へと落とし込んだ「konomama」を通して、彼らは「あなたの戦いは決して孤独なものではない」と伝えている。

■日高 愛
1989年生まれの会社員。

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