2ndシングル『BAN』インタビュー

櫻坂46 上村莉菜×井上梨名×幸阪茉里乃が語る、何色にも染まれることの強みと課題 「魅力をまだ完全に伝えきれていない」

人生にもがいている人のヒントになれたら(井上)

ーー4月14日にはデビューから4カ月という短いスパンで、2枚目のシングル『BAN』が発売。表題曲は「Nobody's fault」にも匹敵するカッコよさを持つ楽曲ですが、初めて聴いたときはどう感じましたか?

井上:何かに葛藤している現実味のある歌詞は、きっと誰もが経験したことがある内容だと思ったし、私もこの状況を味わったこともあるなと感じました。中でも〈僕は絶対BANされるものか〉というフレーズからは、それでも強く生きようとする姿が見えて、自分自身はこの曲を通していろんなことにもがきつつも、何か道を見つけて自分で切り開いていけるような姿勢を表現できたらいいなと考えました。あと、〈神様 何がいけないんですか?〉というフレーズを、私は「誰かに手を差し伸べてほしいのかな?」と解釈して。私もひとりで悩んでいると、自分のことだから自分で解決しないといけないと思うことがたくさんあるんですけど、それでも誰かに言葉をかけてもらって助けられたり、誰かの手を借りたくなることがあるので、人生にもがいている人がこれを聴いたときにその方のヒントになれたらいいなと思います。

ーー欅坂46の頃と比べると、歌詞に登場する主人公の年齢が少し高くなっている印象を受けますよね。

井上:確かにそうですね。この主人公は現実を一回受け入れているかのようなイメージですし。欅坂46の頃はそんなことがあっても「私には関係ない」と、ひとりで突き進んでいくような感じが多いのかなと思うんですけど、特に「BAN」はクエスチョンマークが付くフレーズも多いから、誰かに話を聞いてほしいのかなって思っています。

ーー中高生といった10代の心情から、数年経て成長した主人公という印象もあります。メンバー皆さんの成長に、歌詞の内容も比例しているのかもしれませんね。

井上:共感することも多いですし、そうなのかもしれませんね。欅坂46の曲は、私も学生のときにすごく共感していたんですけど、今振り返るとあの年代だからこその言葉や迫力だったなと感じていて。そう考えると、自分も成長しているんだなと思います。

ーーMVも拝見しましたが、ダンスの難易度もかなり高そうですし、撮影は相当大変だったんじゃないかなと思いますが?

井上:めちゃくちゃ大変でした(笑)。練習のときからみんな筋肉痛がひどく、MV撮影当日まで治らなくて、結局そのまま臨んだんですけど、特に今回は全員でダンスを揃えて迫力を出すシーンが多くて。イントロや間奏が特にそうなんですけど、そういうポイントがより増えた印象があります。

ーー逆再生シーンや水を張った場所でのパフォーマンスなど、見どころも多い内容です。

井上:水場のシーンは足首だけしか浸かっていないように見えるんですけど、スカートで水飛沫を上げてカッコよく見せる演出だったので、全身濡れている状態でしたし、しかも周りのメンバーが上げた水飛沫も当たるし、自分が上げた水飛沫も当たるし、本当に体が冷えまくって(笑)。それに、ドンドンっていう足音が響くような振り付けでは、気合いを入れてパフォーマンスをしていたらブーツのヒールが取れちゃうメンバーもいて、いつも以上に力を入れたダンスだったなと思いました。

ーー「BAN」では「Nobody's fault」に続き、森田ひかるさんがセンターを務めています。井上さんは同じ2期生として、近くで見ていて彼女の成長や変化を感じることはありますか?

井上:るんるん(森田)は欅坂46の頃からセンターを任されることがありましたけど、そこで「私にはできない」と弱音を吐いている姿を見せたことが一度もないくらいの努力家で。

上村:すごい……。

井上:私たちが知らないところでは、たぶんひとりでいろんなことを考えたりしていると思うんですけど、グループの先頭に立ったときは本当に堂々としていて。最近るんるんと話したときに、この曲に対する気持ちとかやりたいことや目指すことが人それぞれあるとは思うんですけど、曲を伝えることに関してはみんなで気持ちを統一したいということを言っていたんです。私が思っている以上にグループの在り方を常に真剣に考えているので、そこで少しでも助けてあげられたらいいな、力になれたらいいなとより思うようになりました。

ーー上村さん、今ポロッと「すごい」という言葉がこぼれましたが。

上村:同期の中では弱いところを見せているのかなと思っていたので。そういう姿を同期にも見せていないんだと思ったら、本当にすごいなと思いました。

夏鈴ちゃん主演のドラマを観ているような気持ちに(上村)

上村莉菜

ーー上村さんが参加している「偶然の答え」についても話を聞かせてください。この曲を最初に受け取ったときの感想は?

上村:純粋に好きだなって思いました。今までの楽曲と比べるとゆったりしていて、イントロから好みの雰囲気でした。振り付けも可愛い感じで好みだったんですけど、実際に踊ってみたら難しくて(笑)。あと、メロディだけ聴くと可愛い系なのかなと思いつつ、歌詞やMVでは切なさを表現していて、そこは新鮮でした。今までのMVでは「より強く!」と言われることはあっても、「切ない表情をして」と指示されることはあまりなかったですし。それこそ、ここまで表情を大切にした曲は初めてだったかもしれません。

ーー歌詞もそうですが、MVでは叶わぬ恋がドラマチックに描かれていて。特に終盤、センターの藤吉夏鈴さんの表情には目が奪われました。

上村:夏鈴ちゃんが涙を流す、あのダンスシーンですよね。私は後列だったから、夏鈴ちゃんが泣いていることに気づかなくて。完成したMVを観て「こんなに泣いていたんだ!」と、役への入り込み方に驚きました。あと、物語の中にダンスシーンを組み込まれているじゃないですか。個人的にはそこも新鮮でした。踊っているときはどういう仕上がりになるかまったくわからなかったけど、これもMVを観たときに「こんなふうに見えるんだ!」と、そこに参加していたのにまるで初めて観た人みたいな感想でした(笑)。

ーーそもそも、ああいうストーリー仕立てのMVというのも、欅坂46時代から考えても……。

上村:珍しいですよね。最後の余韻の引っ張り方も含めて、本当に夏鈴ちゃん主演のドラマを観ているような気持ちになりました。

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