愛美、牧野由依、三森すずこ……キャリアと経験積んだ女性声優の新曲群
2021年も4月を迎え、春クールのアニメがスタートしはじめた。と同時に、女性声優の楽曲も多数リリースされている。リスタートを期すもの、ファンへの感謝を告げるもの、アニメ主題歌としてリリースされるもの。ここで取り上げる3組の楽曲は、キャリアと経験を積んだ、三者三様の姿が感じられる3曲だ。
リスタートを告げる愛美の新シングル
『BanG Dream!』シリーズの戸山香澄役や『アイドルマスター ミリオンライブ!』でのジュリア役として活躍する愛美が、キングレコードからニューシングル『ReSTARTING!!』を発表した。
香澄役での活動をきっかけに、Poppin'Partyのギターボーカルとして日本武道館や幕張メッセで場数を踏んできた愛美。これまでにもポニーキャニオンから、5枚のシングルと1枚のアルバムをリリースしていたこともあり、『ReSTARTING!!』はタイトル通り、愛美にとってのリスタートを告げる作品だ。キャリアを積んできたからこその自負心、加えて並々ならぬ決意を感じずにはいられない。
表題曲は「ギターを弾きたいのでバンドサウンドにしたい」(※1)という本人の意向を汲み、再スタートを切るのにふさわしいアップテンポなギターロックに仕上がっている。自身のギターヒーローにBUMP OF CHICKENの藤原基央を挙げるなど、彼女のバックグラウンドには邦楽ロックを磁場にしたシーンやサウンドスケープが染みついている。
「活動当初は『ネガティブやマイナスなものは隠すべき』と思っていました。でも、今は考え方がまったく変わりました。自分をさらけ出してなんぼだなと」ーー愛美にとって、自身をさらけだしてタフさを封じ込めた「ReSTARTING!!」は、リスナーの琴線に触れる1曲になるだろう。
未来への不安感を拭う牧野由依「シルエット」
牧野由依が、4月3日に2年ぶりとなる新曲「シルエット」を配信リリースした。
4月2日に東京・恵比寿ザ・ガーデンホールで行われたアーティスト活動15周年記念ライブ『YUI MAKINO LIVE CONCERT FIVE6THREE7』で披露されたこの曲は、ファンへ向けて感謝を伝えるために制作されたナンバーだ。
喉の不調からアーティスト活動の復調を経て、自身が参加した音源やファンから支持の高い楽曲を新録して発表するなど、ここ数年にわたって精力的にこなしていた牧野。
だが、2020年はコロナ禍の影響もあり、無観客での配信ライブを2度開催するのみに留まり、非常に波のある一年だったのは想像に難くない。
2度行われた配信ライブでピアノを担当したのが、WEAVERの杉本雄治だ。先述した15周年記念ライブにも杉本は参加しており、今回「シルエット」では作曲を担当、WEAVERでドラムスを担当する河邉徹が作詞を手がけている。
メインのリフはもちろん、ピアノとシンセサイザーで奏でられ、アップテンポな楽曲のなかでリズムパターンは多彩に変化し、サウンドそのものの厚みもどんどん変わっていく。めくるめく変化を通りながら、〈新しい景色を 見つけに行こうよ 当たり前の奇跡 抱きしめながら〉と歌われる言葉は、先行きが見えない不安感を拭うように、聴くものの心に強く響くだろう。