草なぎ剛とタモリ、CM初共演を機に振り返る関係史 途絶えることない確かな絆
「ようやく会えましたね」
4月9日より、草なぎ剛がタモリと共演を果たした新テレビCM「メゾンメルカリ・屋上での出会い」篇のオンエアがスタート。演技での共演は、かつて『世にも奇妙な物語 秋の特別編』(1997年)で草なぎが出演した回以来、実に24年ぶりになるという。
ここは、とある不思議なマンション“メゾンメルカリ“。その屋上で、管理人のタモリがストレッチをしていると、新住人である草なぎがやってきて声をかける。「ようやく会えましたね」という草なぎのセリフには、近年共演がなかなか叶わなかった2ショットをようやく見られたという視聴者の気持ちにもリンクして聞こえてくる。
タモリと草なぎの間には、かねてより特別な繋がりがある。1995年10月より、タモリがMCを務める『笑っていいとも!』(フジテレビ系)のレギュラーとなった草なぎ。当時の年齢は21歳だった。今回のCMメイキングでも語られていたように、草なぎが初めて一人暮らしを始めたときには、絨毯をあげたり、クリーニング屋さんの対応を頼んだこともあったり……「今思うと、タモリさんなしでは、僕一人暮らしできなかったですね」と屈託なく笑う。その表情からも草なぎにとって、タモリがどれほど信頼している存在かが伝わってくるようだ。
有名なのは、草なぎがお正月のたびにタモリ宅に遊びに行っていたというエピソードだ。かつて、『笑っていいとも!』にSMAP5人で「テレフォンショッキング」のコーナーに出演したとき、木村拓哉が「(タモリ宅に)メンバーの中で一番最初に訪問した」と話し、稲垣吾郎が「僕なんかついこの間です」と、それぞれのタモリ宅での思い出を披露する中で、草なぎはずいぶん余裕の表情を浮かべていた。
それもそのはず、当時すでに10年以上タモリ宅でお正月を過ごし、一週間ほど連泊することも珍しくなかったというのだ。香取慎吾が遊びに行った際には、慣れた様子で座布団を出したり、ごちそうを振る舞う支度を手伝ったりと、まるでタモリ家の住人のように振る舞っていたという。タモリ宅で過ごす草なぎは、実家のごとくリラックスして、タモリの口から「17時間くらい寝てる」と暴露されたこともあるほどだ。
また、あまりにもタモリ宅にいることから、タモリのプライベートな友人とも親しくなり、タモリ抜きで遊ぶほどの親友になってしまったという話も。親子のようでもあり、年の離れた兄貴と弟分のようでもある、そんな信頼関係がタモリと草なぎの間にはあった。
それだけの関係性があればこそ、かつて草なぎがお酒で失敗したのち、真面目に5年間も禁酒を続けていたことも知っていたタモリ。『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)内の「BISTRO SMAP」にゲスト出演した際、MCを担当していた中居正広と打合せをしていたのか「みんなで乾杯しよう」と提案したことがあった。草なぎは、そのときも「お茶で。禁酒してるんで」と遠慮していたが、「もういいよ、今日から」と、“もう大丈夫“と太鼓判を押したのがタモリだった。
ここでお酒を解禁したことで、もしまた同じようなトラブルがあったときには、間違いなくタモリの顔に泥を塗ることになるというのは、誰もが感じるところであった。草なぎにとって、そしてタモリにとっても、それは重い一杯だったに違いない。それでも2人は笑顔でグラスを合わせ、ぐいっと飲み干すと、再度かみしめるように乾杯をしてみせた。もちろん、その場を盛り上げたメンバーや視聴者も、みんなが証人になること。そこにも大きな意味があった。
時間と空間を共有できる心地よい関係性に加えて、責任を持って寛容な視線で見届けてきた、タモリと草なぎの絆。『笑っていいとも!』が終了し、2017年に新しい地図を広げて以降は、テレビで2ショットが見られることはほとんどなくなった。それでも、『ブラタモリ』(NHK総合)のナレーションを続けるなど、そのつながりは確かに続いてきた。