藤井風らアーティストをより輝かせる時代を読む力 Yaffleが生み出す音楽の真髄

 藤井風と巻き起こした“追い風”によって、Yaffleの活動は今、文句なしの最盛期を迎えている。彼と同じく勢いを増すSIRUPは、「Synapse」以来となるコラボ作「Thinkin about us」を発表。近年のYaffleに顕著な温もり重視のアレンジによって、混沌とした時代ならではのメッセージソングは奥行きのあるドラマ性を伴って我々を優しく包み込む。また、ネオソウルのグルーヴをまとったDEAN FUJIOKAへの提供曲「Follow Me」も、ダンサブルなイメージの強い彼の新境地として力強く機能。シンプルな構造ゆえ、Yaffle発祥のグルーヴに心ゆくまで浸れる注目曲となっている。

SIRUP「Thinkin about us」
DEAN FUJIOKA「Follow Me」

 1stシングル「Touch」、2ndシングル「Gravity」と立て続けにYaffleがプロデュースを担当しているのは、ガールズグループFAKYのメンバーとして知られるAKINA。ミステリアスな彼女の声質を生かしたオルタナティブの最先端とも言えるサウンドは、ワールドスタンダードを志すYaffleの強い気概さえうかがえる秀逸な仕上がり。今後は藤井風よろしく、Yaffleと二人三脚の体制でキャリアを積み上げていく可能性もあるので楽しみなところ。

AKINA「Gravity」

 将来有望なアーティストが台頭するたび、目まぐるしく移ろいを見せるJ-POP。他方、そこにはいつだって、Yaffleのような冷静に時代を見通すクリエイターがいることも忘れてはならない。あらゆるジャンルがクロスオーバーする今、Yaffleの適応力が劇的な活躍へと繋がっていくのはもはや必然。ぜひとも早い内に、その手腕を心に焼き付けておくことをお勧めする。

■白原ケンイチ
日本のR&B作品をはじめ、新旧問わず良質な歌ものが大好物の音楽ライター。当該ジャンルを取り上げるサイトの運営、コンピレーションCDのプロデュース、イベント主催の経験などを経て、現在はささやかに音楽ライフを満喫する日々。Twitter(@JBS_KEN1)

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