いきものがかり、ファンと心の距離近づけた15周年記念配信ライブ 音楽を通じて会いに行こうとする想い

いきものがかり、15周年記念配信ライブレポ

 いきものがかりのデビュー15周年を記念し、無観客配信ライブ『いきものがかり デビュー15周年だよ!! ~会いにいくよ~特別配信ライブ』が3月14日に横浜アリーナで行われた。開演時間になると客席の椅子に座る吉岡聖恵(Vo)、水野良樹(Gt)、山下穂尊(Gt)の姿が映され、「みなさんどうもこんばんは、いきものがかりです。お久しぶりです。今日は一緒に楽しんでいきましょう」という吉岡の挨拶からライブはスタート。客席から3人だけでアコースティックアレンジの「会いにいくよ」を優しく歌い演奏する。〈精一杯を歌に託して〉という歌詞が印象的な楽曲。コロナ禍でライブを通常通り開催することは難しく、ライブに足を運ぶことに躊躇するファンも多いご時世。だからこそ3人は音楽という心に近づくことができる手段で、ファンに会いにいくのだ。そんな意思を感じるような1曲目である。

 演奏が終わると「太陽」をBGMにリハーサルや会場設営の様子を映したオープニング映像が流れる。そしてサポートメンバーを含めた全員が円陣を組む映像に変わり、ファンへのメッセージが流れる中でステージへと全員が向かっていく。配信ならではの期待を煽る演出だ。ステージにたどり着いてから演奏された1曲目は「笑顔」。「配信ライブになっちゃいましたけど、それも楽しさに変えていきます」と水野が演奏前に言っていたが、その言葉にも納得の幸福感に包まれた空気。曲間で「観てる?」とカメラに向かって手を振る吉岡。ステージ後方の巨大スクリーンにはファンが一緒に歌う映像が流れていた。配信ライブでもファンとコミュニケーションをしっかり取り、一体感を作り出す。

 「気持ちが塞ぎ込んでしまうことも多いから、今日は楽しんでもらえたら嬉しいです」という水野のMCから「今日はツアーではないけど」と言って、「こんにつあー!」というライブでは定番の挨拶をメンバーが1人ずつ言っていく。配信とはいえど普段のライブと変わらない雰囲気。そして「みんなどこにいるのかな? 手拍子お願いします! 日頃の鬱憤を晴らしていきましょう!」と吉岡が叫んでから「気まぐれロマンティック」を披露。吉岡が踊りながらパフォーマンスしたり、間奏で山下がハーモニカを吹いたりと盛り上げていく。会場の熱気が画面から伝わってくるテンションが高いパフォーマンス。元気をもらえるし自然と笑顔になってしまう。

山下穂尊(Gt)
山下穂尊(Gt)

 そして壮大なバラード「アイデンティティ」をエモーショナルに披露。最後のコーラスでは「みんなで」と言って一緒に歌うように呼びかける。いきものがかりは様々なタイプの楽曲で音楽を届けてくれる。無観客で物理的な距離が離れていても、心の距離は近くであろうとしているし、一緒にライブを作ろうとしている。歌い終わってから「一緒に頑張ろう」とささやく吉岡の言葉が印象的だった。「手拍子お願いします!」と言ってからライブ定番曲でもある「KIRA☆KIRA☆TRAIN」を久々に披露。星の形をしたタンバリンを持って手を振る。スクリーンには星が集まってできた線路の映像が映る。メンバーの演奏が素晴らしいだけではなく、演出もライブを盛り上げることにおいて重要な要素である。吉岡は「みんながいるような気がしちゃったよ」と感慨深そうに話していた。

吉岡聖恵(Vo)

 「この曲は秋のことを歌ってはいるけれども、この季節のみなさんの旅立ちに向けて、一緒に大切に育てていきたい曲です」と吉岡が話してから演奏された「YELL」。いつしか卒業式の定番ソングになっていた出会いと別れを歌った希望に溢れた楽曲を感動的に届ける。中盤で流れた転換VTRはFM yokohamaのラジオブースから3人がラジオを収録する様子を再現した映像だった。3人のアットホームなトークが流され、終盤にはデビュー曲「SAKURA」を「わたしたちの始まりの曲を聴いてください」と言ってから、アコースティックで演奏。「15周年の感謝の気持ちを込めてお届けしたいと思います」と水野が言ってから再び横浜アリーナの生配信に切り替わり「ありがとう」を披露。そして巨大スクリーンに映された壮大な映像をバックに「きらきらにひかる」をクールに届けた。

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