NMB48 山本彩加、同期 5期生に送った優しいエール 功績とともに振り返る卒業コンサート

 5期生メンバーと共に歌った「春はもうすぐ」は、山本彩のシンガーソングライターとしての楽曲。加入当初から名前が1文字違いであることからW山本として山本彩の近くでキャプテンとしての姿勢を学び、いつしか憧れの存在となっていた。LAPIS ARCHのコンサートの中でも、山本は山本彩の「イチリンソウ」を一人でカバーしている。先述した「僕だって泣いちゃうよ」や次曲の「夢は逃げない」を含め、山本彩への尊敬と感謝が伝わる選曲が散りばめられており、「春はもうすぐ」の〈僕は僕の夢を追いかけて/君は君の夢を追いかけて/それはけして寂しいことじゃないんだ/それぞれの道へと 歩む孤独が 僕のきずなさ〉という歌詞が、それぞれの岐路に立つ5期生の関係性と運命的にリンクしていた。

 「春はもうすぐ」で山本は同期の一人ひとりにサプライズメッセージとフラワーブレスを渡す。これは後に山本がInstagramで明かしていたことだが、花も自身が選択しており、青い薔薇の花言葉は「夢叶う」、かすみ草は「感謝」。実は内気で引っ込み思案が多い5期生の背中を押す、力強いメッセージだ。

 コンサートのラストを飾ったのは、NMB48、そして山本彩加らしく「青春のラップタイム」「ササササイコー」といった明るくポップな楽曲。ビジョンには「皆さんに応援されて、世界一幸せなアイドルでした!! 私をアイドルにしてくれてありがとう 山本彩加」という手書きのメッセージが映し出された。山本のアイドル活動は、3月17日、18日のLAPIS ARCHのラストライブ、19日の卒業公演まで続いていく。

 卒業発表からの2カ月間、NMB48は『NAMBATTLE』のプロジェクトがスタート。卒業が決まっている山本は、生配信イベントでのアシスタントMCとして参加。卒業コンサート前日に行われた決勝大会でもMCを担当し、その見事なトークの回しにどこにいても輝けるタイプなのだと、改めてその魅力に気付かされた。『NAMBATTLE公演~舞~』についても、6グループの公演の感想をツイートし、最後まで自分がNMB48のために出来ることに尽力していたように思える。

 冒頭で「山本彩加は、完璧と呼ばれるアイドル」と書いたが、同時に彼女は類まれなる努力の人でもある。何事にも積極的で諦めない精神。キラキラしたその笑顔の裏には、人知れない挫折と涙があった。言葉は違えど、山本が伝え続けているメッセージがある。「努力で結果は変えられる」(『NMB48 10th Anniversary Book』インタビューより)。一色一色塗り重ねていった先に綺麗な彩りがあるように、最初から完璧な人間などいない。努力を怠らずに、遠くで輝く夢を追い続けること。アイドルとしての絶頂から、新たな人生の岐路に立つ彼女がそのことを体現し続けている。

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

NMB48公式HP

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