AKB48『歌唱力No.1決定戦』、NMB48『NAMBATTLE』……正念場迎えた48グループ、新プロジェクトで活性化なるか

 ここ数年、新たな絶対的エースの誕生が待ち望まれている48グループ。日本のアイドル界全体でもトップ人気を誇ってきた48グループだが、AKB48は結成から16年目、SKE48は13年目、NMB48は11年目、HKT48は10年目を迎え、グループ創世記のスターたちの多くは卒業した。かつてのように、アイドルに興味がない人でもその名を知る強烈な存在感を放つメンバーは、果たしてこれからあらわれるのか。48グループにとって世代交代は今、大きな課題となっている。

NMB48『恋なんかNo thank you!』(通常盤Type-A)
NMB48『恋なんかNo thank you!』(通常盤Type-A)

 48グループはそれまで、人気投票である総選挙や運が試されるじゃんけん大会で順位付けをおこない、上位メンバーを中心にピラミッドが形成されていた。48グループが一気に勢いづいたのは、間違いなくそういった個人の人気至上主義のシステムである。歌、ダンス、演技などパフォーマンス力に優れていても、自分の実力に大衆の目を向けさせるにはやはり総選挙で上位に食い込むことが必須条件だった。そのため、メディア向けのタレント性やファン対応が重視されていた。

 ただ、2018年の10年目をもって総選挙は一旦、区切りが付けられた。次のフェーズへ入るための決断だったのかもしれない。ちなみに「ドラフト会議」はそういった未来の才能を発掘するための企画だった。しかし指名されたメンバーのポテンシャルが一般的には伝わりづらく、シミュレーションゲーム的な感覚でもあったので、趣旨が機能していたとは言えない。

完全実力勝負を掲げた『AKB48グループ歌唱力No.1決定戦』

 世代交代を押し進める企画として2019年1月にスタートしたのが、『AKB48グループ歌唱力No.1決定戦』だ。ここで掲げられたのが「完全実力勝負」。シンプルに歌の実力を評価するというもの。背景にはやはり、モーニング娘。をはじめとするハロプロ勢の存在があったのではないか。モーニング娘。はテレビ向けのアイドルグループから、歌、ダンス、組織力のすべてにおいて実力主義を貫くようになり、日本屈指のライブグループへと進化した。

 活動が長くなってきた大型トップグループは、モー娘。のような発展が必要不可欠だ。近年、インディーズからメジャーへと突き上げてくるのもフィロソフィーのダンス、大阪☆春夏秋冬のような本格派のダンス&ボーカルグループが多く、アイドルシーン全体としてパフォーマンス重視の傾向が一層強まっている。

 『AKB48グループ歌唱力No.1決定戦』では、新星が次々と出てきた。第1回優勝のSKE・野島樺乃は大会を機に、その後は初の選抜入りを果たすなど飛躍。2019年10月の第2回では、前回準優勝のAKB48・矢作萌夏がチャンピオン。間もなく48グループを卒業したが、その歌唱力からソロデビューへの期待がふくらんでいる。2020年12月の第3回は、STU48研究生の池田裕楽がトロフィーを手にした。研究生とあって事前の注目度は決して高くなかったが一気に脚光を浴びる形となり、今後のステップアップは間違いなし。

 『AKB48グループ歌唱力No.1決定戦』にかけるグループ内の本気度も増している感がある。総選挙のような派手なイメージはまだないが、ここで芽生えた競争意識は48グループの成長につながるはずだ。

『NAMBATTLE』で既存システムを壊して覇権奪取へ

 NMB48も2021年、新企画『NAMBATTLE~戦わなNMBちゃうやろっ!』を仕掛けた。これは現行の3チームを解体して、新たに編成された6つのチームで争うというもの。劇場公演、配信イベント、ファン投票で火花を散らす。優勝チームにはNMB48の次回リリース作品にて新曲に選抜、さらにミュージックビデオ撮影・出演の権利を授与。また劇場公演やメディア露出も用意されるという。これまでくすぶっていたメンバーは大きなチャンスとなる。

 『NAMBATTLE』はAKB48の初期を彷彿とさせる企画内容だ。決して新鮮さはないが、こういったバトル企画は内部の活性化を生む可能性がある。確かに、関西でNMB48に太刀打ちできるメジャーグループは少ない。ライバルがほとんどいないなかで活動を続ける難しさはあるはず。しかし、NMB48が目指すものはあくまで全国の頂点(てっぺん)である。覇権奪取には既存のシステムを壊し、内部の競争意識を高める必要があると踏んだのだろう。

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