indigo la Endが追求し体現する理想の音楽 最新作『夜行秘密』プラネタリウム配信ライブレポ
優れたソングライターのもと、自律したミュージシャン同士が音楽をやるために集まり、シーンの動向やトレンドと距離を取りながら、自らの表現を追求する。この日の配信ライブでindigo la Endは、バンドとしての在るべき姿を理想的な形で示した。
indigo la Endが2月16日、プラネタリウムから生配信ライブ「『夜行秘密』リリース記念 Special Streaming Live at Planetarium 」を開催した。演奏されたのは、翌日(2月17日)にリリースを控えた最新アルバム『夜行秘密』に収録された6曲。ライブはYouTubeのほか、VRアプリ「VR SQUARE」でも生配信。プラネタリウムならではの演出を楽しむことができた。
ライブはアルバム『夜行秘密』の1曲目に収録「夜行」からスタート。まずは佐藤栄太郎(Dr)、後鳥亮介(Ba)がなめらかなグルーヴを描き出し、印象的な“キメ”のフレーズから楽曲のイントロが始まる。音源とは異なるアレンジから、川谷絵音(Vo/Gt)がハンドマイクで切ないファルセットを交えたボーカルを響かせ、一瞬にしてindigo la Endの音楽世界に没入させられる。淡い青の光を放っていたプラネタリウムの映像は、〈行かないで 行かないで/夜行で駆け落ちたいよ〉というフレーズと同時に満天の星空に変化。楽曲の憂いを増幅させる演出も印象的だった。
まるでフリージャズのようなセッションに導かれた「左恋」では、肉体的なファンクネスを備えたバンドサウンド、解放的なサビのメロディが交差し、早くも心地よいカタルシスに導かれる。漂うクラゲや爆発する惑星を交えた映像、楽曲が進むにつれて高揚感を増すリズムセクション、歌と絡み合いながら緊張感を高めていく長田カーティス(Gt)のギターフレーズが一つになり、まさに配信ライブならではのシーンへと結びつけた。
続く「夜光虫」では川谷がアコギを弾き、オーガニックな音像が出現。AOR、ギターロック、ジャズなどを絶妙なバランスで融合させ、独創的でありながらどこかに郷愁を感じるようなアンサンブルに結びつける。メンバー4人とサポートコーラス2人(佐々木みお、えつこ)は円形に並んでいるのだが、お互いに目を合わせるわけでもなく、フラットなテンションで演奏を続ける。緻密に構築されたアレンジと、生演奏ならではの“揺れ”が同時に感じられるのもきわめて魅力的。〈打ちかけだった/文字が踊る様見てた〉という歌詞にリンクするように、〈轟かず〉〈願えぬ心〉〈憎しみ〉〈消せない想い〉などの文字がスクリーンのなかで降ってくる演出も素晴らしい。