3rdフルアルバム『With You』インタビュー
SCREEN modeが語る、『With You』で示した活動の指針 「ポジティブな哲学のあるクリエイティブでなければいけない」
少しでもみんなの気持ちに寄り添えたら
ーーこのアルバムの聴きどころポイントその2は「雅友作曲のセルフカバーが2曲」入っていることで、1曲が今話に出た芹澤優さんの「今夜も月がきれい」で、もう1曲が田村ゆかりさん「W:Wonder tale」です。
雅友:田村ゆかりちゃんの「W:Wonder tale」や「Endless Story」は自分でも気に入っていて、SCREEN modeを立ち上げた時から、ライブでできたらいいなと思ってはいたんですね。でも最初のうちは自分たちの曲を作っていくことが大切なので、あえてやらなかったんですけど、今回のコロナで、何て言うのか……たとえば2019年の暮れには、こんなことになるとはまったく思わなかったですよね。ほんの数カ月で世界が変わってしまって、映画『天気の子』の最後みたいな、世界が変わったままみたいに今はなってますけど、それを思った時に「悔いを残すべきではない」と思ったんですね。いつ何が起きるかわからないので、前からやっておきたいなと思っていた、自分にとって大切な曲を勇に歌ってもらうことだとか、TRUEさんや紀章くんのように、個人的にも仲良くさせていただいている仲間のみんなとコラボするとか、そういうことを生きてるうちにちゃんとやろうと思って(笑)。そういう理由もありますね。
勇-YOU-:「W:Wonder tale」は雅友さんが作った田村ゆかりさんの名曲ですけど、アレンジがすごく変わっていたので、リスペクトを込めつつ、気負わずに「SCREEN modeらしく歌おう」とだけ思ってましたね。「今夜も月がきれい」に関しては、TRUEさんのボーカリストとしての器の大きさを感じたのがすごく印象的でした。この曲は「女性がまだ忘れられない恋の中にたたずんでいる」みたいな楽曲なんですけど、女性と男性が二人で歌うことで「お互いがお互いを思っているのに実らぬ恋」という側面も感じられて、楽曲の解釈の幅が広がったなという印象がありますね。
ーーそして、アルバムの聴きどころポイントその3は「書き下ろし新曲」。特に7曲目「世界で一番ステキな恋」は、SCREEN modeの得意技と言ってもいい、軽快なジャズ風味の楽曲になってます。
勇-YOU-:「友情ごっこ」とか、ジャズ系の曲は何曲かありますけど、それともまったく違うテイストだったので、また新しい扉を開けたなと思います。こういう曲は歌っていてすごく楽しいので、録音も終始楽しい感じでできました。初めてお願いした作詞家の方(山本成美)も、素敵な歌詞を書いてくれましたね。今までのジャズ系の楽曲は、ちょっと危険な匂いの漂う恋愛曲が多かったと思うんですけど、今回のイメージは、ドレスアップして夜景がきれいな場所にデートに繰り出す感じですね。今回の『With You』のテーマに沿って、「素敵な恋を初めてみませんか?」という華やかなニュアンスの楽曲ができたから、歌い手としても新しいものができあがったんじゃないかな? と思います。
雅友:最初に話したような「座って聴いても違和感ない曲」というのは、新曲に関しての裏テーマでもあって、この曲もそうですね。勇-YOU-が言ったみたいに、今まではシンプルに「好きだよ」という曲があまりなくて……何だったんでしょうね。最初の頃は照れ臭さがあって、「好きなんだけど届かない」という曲か、「LφVEST」みたいにはちゃめちゃな恋愛模様の曲か、極端なやつしかなかったので(笑)。あったかい温度感のものは自分たちには似合わないと思っていたのか、無意識にそういうものを作ってしまっていたところがあったんですけど、7年経ってようやくシンプルに「好きだよ」と言える曲を作れるようになったのかな? と思います。大人になったのかもしれない(笑)。
ーー8曲目の新曲「君がいる世界」も、あったかさのあるポップな曲ですよね。この曲にはバグパイプみたいな音色が入っていて、ケルトっぽくて、それもあったかさや優しさに繋がってるなと思いましたね。
雅友:そんなにケルトを意識したわけじゃないですけどね。なんとなく雰囲気で(笑)。
ーーすごくいい感じです。もう一つ、アルバムの聴きどころポイントその4はもちろん「アニメタイアップ曲」で、「One Wish」(『警視庁 特務部 特殊凶悪犯対策室 第七課 -トクナナ-』ED主題歌)、「GIFTED」(『ムヒョとロージーの魔法律相談事務所』第1期OP主題歌)をはじめ、前作アルバム以降のタイアップ曲がすべて網羅されてます。アルバムを総括すると、タイアップ曲、カバー曲、フィーチャリング曲、新曲をバランスよく散りばめた、バラエティに富んだ内容になりました。最初に思い描いた通りの作品になったと思いますか。
勇-YOU-:そうですね。自分が一緒に歌いたい人を「これでもか」と詰め込めましたし、今までにないぐらいめちゃくちゃ豪華なアルバムに仕上がったことは間違いないので、たくさんの人に聴いてもらいたいです。
雅友:今はライブができない状態で、やるとしても厳重な感染症対策が必要ですけど、いつか元に戻った時に「こんなふうにやれるよ」というものをイメージできるような、ライブハウスでみんなで盛り上がるロックの曲も入れたかったんですね。矛盾するようですけど、座って聴く曲もあれば立って聴く曲も両方あるというのは、僕の中ではちゃんとストーリーが繋がっている部分はあります。同じストーリーの上にあるものを、両方作れて良かったと思いますね。
ーーちなみにアルバムタイトルの『With You』は、二人で決めたんですか。
勇-YOU-:スタッフを含めて、何個か案があったんですけど、シンプルかつ「一緒に乗り越えていこうぜ」というテーマにぴったり合うのと、ダジャレ的に「勇-YOU-と一緒だよ」というところもありますね。なかなかライブで顔を合わせる環境には戻れないけど、この1枚を通して少しでもみんなの気持ちに寄り添えたらいいなという気持ちも込めたタイトルにしました。
――そして2021年。まだまだコロナの状況は予断を許さないですけど、これからどんなふうに、SCREEN modeの活動を進めていきますか。
勇-YOU-:まず自分の考えのベースにあることは、「振り回されないこと」なのかなと思ってますね。日々の感染者数の増加とか減少とか、そういうところに目を奪われがちだと、一喜一憂してばかりなので、いい意味で最悪の想定というか、まだまだ厳しい状況は続くだろうという想定の中でやっていくのが大事なのかなと思ってます。配信もいろんな方がいろんな工夫をされて、配信の良さも感じているし、たとえば福岡の方が東京に行かなくても家でライブを見れるとか、そういう可能性もあるので。振り回されずに、「コロナがなんだ」という気持ちで、現状できることを続けて、気持ちを絶やさずやっていくしかないと思っていますね。
雅友:隔週水曜日、ニコニコ生放送のスタジオライブ「スクうた」、見てください(笑)。まずはそこを頑張ります。
■リリース情報
『With You』
発売:1月27日(水)
初回限定盤CD+BD / ¥4,200+tax
通常盤CD / ¥3,000+tax
<CD>
1. ALIVE
作詞:松井洋平 作曲・編曲:太田雅友
歌:SCREEN mode feat. KISHOW (GRANRODEO)
2. WRIGHT LEFT
作詞:松井洋平 作曲・編曲:太田雅友
3. GIFTED
作詞:松井洋平 作曲・編曲:太田雅友
4. W:Wonder tale
作詞:畑 亜貴 作曲・編曲:太田雅友
※田村ゆかりカバー楽曲
5. Unforgettable
作詞:村野直球 作曲・編曲:太田雅友
6. 今夜も月がきれい
作詞:唐沢美帆 作曲・編曲:太田雅友
歌:SCREEN mode feat. TRUE
※芹澤優カバー楽曲
7. 世界で一番ステキな恋
作詞:山本成美 作曲・編曲:太田雅友
8. 君がいる世界
作詞:村野直球 作曲・編曲:太田雅友
9. 陽だまり
作詞:林 勇 作曲・編曲:太田雅友
歌:SCREEN mode feat. 畠中 祐
10. One Wish
作詞・作曲・編曲:太田雅友
<Blu-ray>
01. Unforgettable (Music Video)
02. SCREEN mode 5th Anniversary Live -月光STORY- (Director's Cut)