竹達彩奈×クラムボン ミトに聞く、歌手と音楽作家の理想的な関係性 「10年20年、大切に歌っていける曲を作っていきたい」

竹達彩奈×クラムボン ミト対談

竹達さんはかなり早い段階から自分の意見を出していた(ミト)

ーー相手が望むものを取りこぼさないようにする、相手に対する思いゆえですよね。そういう流れを経て、曲が完成に向けて進んでいくと。

竹達:実は、完成までにもいろいろあったんです。まず、最初に歌詞とデモをいただいて確認させていただいて、すごく好きな歌詞と曲調で「ああ、素敵だな」というのがまず第一印象としてあったんですけど、のちのち歌詞の一部がほかのアーティストさんの楽曲とかぶることが発覚して。「それじゃあ、歌詞のイメージがだいぶ変わっちゃうじゃん!」って話になったんですけど、最初の歌詞の一部、その文字にもうひとつの意味があるらしいとわかって、「じゃあ、そっちに振ったらどうですか?」と。最初は夕方のイメージで作ってくださっていたんですけど、逆に朝焼けにしよう、日の出のイメージにしようと歌詞を変えてもらいました。で、アレンジに関しても変更するポイントを人づてでお伝えしていたんですけど、それがミトさんにうまく伝わっていなかったみたいで。いつまで経っても私がお願いしていたことが反映されていなかったんです。それで、気づいたらバンドレコーディングの前日になっていて(苦笑)。

ミト:リリックの舞台が夕方から朝に変わるわけで、感情から何からだいぶ違うことになるので、アレンジもだいぶ変えないといけないわけですからね。なのに曲に対するリクエストがまったくなくて、「あれ、これってリリック以外の楽曲周りに対する竹達さんからのリクエストってあるんじゃないですかね?」「あれ、これやばいかも?」と思って、その日の夜9時頃に「皆さんに招集をかけられますか?」と伝えて。11時にみんな揃ったのでZoomを開いたら、やっぱり思ったとおりだったという。ただ、お互い「これ、根本を変えないといけなんじゃない?」って気持ちやリリックに沿ったアレンジの方向性に対する認識が共有できていたので、そこからすぐに取り掛かって。最終的に当初のデモから7割ぐらい変わったんですよ(笑)。

竹達:結果的にそうなりましたね。その打ち合わせのあとにミトさんがすぐに作業して、朝イチで新しい音源を送ってくださったんです。それを確認して「そう、これだこれだ! これでぜひ進めてほしいです」ということで、そのままバンドレコーディングに入って(笑)。

ミト:その最中に、僕は構成表もスコアも全部書き直して。でも、わかったら僕は早いんですよ。そのミーティングが終わったのが深夜12時過ぎだったと思うんですけど、そこから始めてもう2時には出来上がっていたので。

竹達:大変苦労をおかけしました(笑)。

ミト:いやいや(笑)。でも、その勢いがあったからなのか、ある種のパターンに入っていたので、録音のときはめちゃくちゃバキバキでしたよ(笑)。ボーカルも3時間で全部録りましたし。竹達さんがありがたかったのは、かなり早い段階から「ここはもうちょっとこうしたい、ああしたい」という自分の意見をちゃんと出していたこと。特に歌詞はそうですけど、そのやりとりがあるとどんどん磨かれて変わっていくので。例えば、竹達さんだったらもうちょっとメルヘンというかおとぎ話的な感じに収めてもいいだろうってところを、今の竹達さん自身が「もっと言い切っちゃってくれ」と言うこともありましたから。

竹達:確か最初にいただいた歌詞は、もうちょっとふんわりされていましたよね。すごく言葉を選んでくださっているんだなと感じたんですけど、「もっと核心をついた、ドキッとするような言葉を入れてください」と伝えて、それで変えてくださったんです。

ミト:結構そこもギリギリまで詰めさせてもらえたから、本当にありがたくて。毎回どんなプロジェクトもそうであってほしいんですけどね。

竹達:そういうふうに丁寧にモノづくりができたら最高なんですけどね。

ーーこの丁寧な作り込みこそ、今のこの時代だからこそやるべきものなんじゃないかという気がします。実際、今回の「Dear Dear」はかつてないほどに刺さったんですよ。このサウンドと、そこに乗せられた言葉もそうですし、竹達さんの歌も今までとは違った表情が伝わりましたし。この丁寧さは、きっとリスナーの皆さんにもダイレクトに伝わるんじゃないかと思います。

竹達:ありがとうございます。

ミト:竹達さんがすごく気に入っていてくれているし、僕も好きではありますけど、どう届くのかはまったく未知数。今だったら二乃(※テレビアニメ『五等分の花嫁』で竹達が演じるキャラクター、中野二乃)のキャラソンを歌っている世界線がある状態で、この「Dear Dear」が果たしてどれぐらいのギャップを与えられて、どれだけファンの人たちをつなげられる線になるのかと、すごく考えるんですよ。ただ、そうは考えても、基本的にはクライアントさんやアーティストさんの望んでいるものを作っていくことが自分の中では命題だから、やっていることと頭の中で考えていることがいつでも分裂してしまう。でも、それが普段竹達さんがやっている稼業だと思うので、すごいことですよね。

音楽で10年近く戦ってこられたのはとって大きな誇り(竹達)

ーー竹達さんは今年の4月11日でアーティストデビュー9周年を迎えます。

竹達:本当ですか? そんなにやってるんだ!(笑)

ーー(笑)。当初は音楽に対して、前のめりという感じではなかったですよね。

竹達:そうでしたね。最初は怖すぎて、石橋を叩きまくって入ってきた世界ですけど(笑)。「もう絶対無理だよ!」と思いながら、母に背中を押してもらったりとかして飛び込んで、とりあえずやってみよう、それで考えようみたいな感じで始めた音楽活動でしたけど、9年やってきて思うのは、何かを作ったり何かを表現することがすごく好きなんだなということ。お芝居ももちろん大好きですけど、お芝居以外で表現できる場所ってすごくありがたいな、素敵だなと思っていて。しかも、それを竹達彩奈の名前でできるというのは、本当に恵まれた事だと思っているので、だからこそ自分の納得いくものを作らなくちゃいけないし、見せなくちゃいけない。それがたまにネックになったりするときもあるんですけど(笑)、そういう場所で10年近く戦ってこられたのは自分にとって大きな誇りですね。

ーーそういう意味では、「Dear Dear」はここから先がどんどん楽しみになる1曲になりましたね。

竹達:今後どうなっていくのかは私自身もまだ見えていないですけど、10年20年と自分が大切に歌っていけるような曲をこれからも作っていきたいなと思います。

■リリース情報
デジタルシングル「Dear Dear」
発売:2021年1月20日(水)

<収録内容>
1.Dear Dear 
作詞・作曲・編曲:ミト(クラムボン)
2.フラワームーン 
*竹達彩奈スペシャルトーク&ライブ「flower moon」より【LIVE音源】
作詞:加藤哉子 作曲・編曲:小林俊太郎

■ライブ情報
竹達彩奈ONLINE LIVE「Good-bye winter Hello spring!」
日時:2021年2月28日(日)開催
①昼の部【トーク+アコースティックミニライブ】 13:20配信開場/13:30開演
②夜の部【アコースティックライブ】 16:50配信開場/17:00開演
③打ち上げ放送 19:50配信開場/20:00開演
出演:竹達彩奈
バンドメンバー:小林俊太郎(key)、木暮晋也(Gt)、白根佳尚(Dr)
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