竹達彩奈×クラムボン ミトに聞く、歌手と音楽作家の理想的な関係性 「10年20年、大切に歌っていける曲を作っていきたい」

竹達彩奈×クラムボン ミト対談

ミトさんの信頼感って本当にすごくって(竹達)

ーーその「AWARENESS」から4年を経て、今回の「Dear Dear」へとたどり着くわけです。

ミト:4年も経ったイメージがないですけどね。

竹達:そうですね、あっという間で。

ーーこの曲でミトさんにサウンドプロデュースや楽曲制作をお願いすることになった経緯は?

ミト:ああ、それは僕も聞きたかったんですよ。

竹達:今回、プロデューサーさんから「デジタルシングルを作ろう」というお話をいただいて、「じゃあ誰に曲を書いてもらう?」となったときに、やっぱり安心感じゃないですけど「しっかり作ってくださる方がいいよね」って話になって。そこで私からミトさんの名前を挙げさせていただいたんです。

ミト:そうだったんですね。

竹達:はい。ミトさんの信頼感って本当にすごくって。それこそ先ほどおっしゃっていましたけど、クライアントさんが望むものを作ろうと頑張ってくださるので、それがすごくありがたいんです。しかも、自分が求めているもの、作ってみたいものについてしっかり聞いてくださるし、そのオーダーに沿いつつもさらに上の仕上がりにしてくださるので、ミトさんに曲を書いてもらいたいなと思って。特に今回は私が30歳を超えて初のシングルだったので、“新しいもの”を作りたいなっていう思いがすごく強かったんです。「それを上手に表現してくださる方って誰だろう?」と考えたときに、ポン! とミトさんが思い浮かんで。ミトさんは作家としても活動されていますけど、アーティストとして表にも出る方で、表に出る側の気持ちと裏方の気持ちと両方に携わっているじゃないですか。なので、こっち側の気持ちにも寄り添っていてくれている感じも、安心感や信頼感として強かったんです。

ミト:うれしいな。作家冥利に尽きますね(笑)。

ーー今、“新しいもの”というワードが出ましたけど、確かに「Dear Dear」の醸し出す空気感はそれ以前の楽曲と比べると、かなり変わった印象があります。今までもこの要素を持っていたとは思いますが、今回は特にそこが突出したのかなと。

竹達:そうですね。今まではコンセプト含め、しっかり作り込まれた音楽というのがメインだった気がしていて。どの曲もすごく好きで、これからも大切に歌っていきたい曲たちではあるんですけど、一方で自分が40歳、50歳になっても変わらず等身大の気持ちで歌える曲を歌いたいという気持ちもあって。例えば「ライスとぅミートゅー」や「Hey!カロリーQueen」を50歳になったときにどう歌うかって、結構難しいじゃないですか。

ーー表現の仕方をちょっと考えますよね。

竹達:ですよね。もちろん歌っていきたい気持ちはあれど、それをどう表現していくかはすごく難しくて。だから、自分の表現として等身大のものをどんどん作っていかないと、音楽活動を続けていくとこの先壁にぶち当たるんじゃないかなと。そう思った中で、生まれたデジタルシングルなんです。

オーダーを受ける側としては取りこぼすのだけは嫌(ミト)

ーーなるほど。ミトさんはそういう具体的なお話を、どこまで聞いていたんですか?

ミト:ありがたいことに、今回は竹達さん含めてZoomでミーティングしたんですね。もっと言うとですね、私は去年からのコロナ禍でZoomが適用されるようになってから、自分の中でよりクライアントさん周りの情報を逃さないことができるようになって。理由は簡単なんですけど、Zoomを始めた瞬間にボイスメモを録るんです。だから、携帯に今までのミーティングが全部入ってます。

竹達:えーっ、恥ずかしい(笑)。

ミト:正直、リアルで対面しているときに「じゃあすみません」と言ってボイスメモを録れるほど、そんなに僕は肝が座ってないので(笑)。ただ、そこで「あのときのあれが拾えてなかったんじゃないか?」と思うのが、僕にとってはすごく恐怖というか。やっぱりオーダーを受ける側としては、取りこぼすのだけは嫌なんです。なので、竹達さんチームとのミーティングの1回目を去年の10月中旬に行って、そのあとで内容をテキストにまとめたらA4用紙3枚分になっていたんですよ。

竹達:えっ? (ミトが用意したメモを受け取り)すごい!

ミト:そのあとに直接いただいたメッセージも全部まとめて、それで最初からある程度ビジョンが見えたというか。

竹達:本当だ、私がLINEで送ったやつもちゃんと入ってる。

ミト:とにかくZoomで話したときから、先ほど竹達さんがおっしゃっていた、いわゆる演者さんとしての竹達さんとしてではなく、竹達彩奈というパーソナルなものとして作れたら、ということを書いてますよね。

竹達:はい。

ミト:そういうイメージがリリックのヒントになっているんですけど、普段だったらちょっと(テーマが)大きすぎて気恥ずかしくなるような気持ちについても触れていて、感情の真髄に近いくらい結構思い切ったなと思うんですよ。それこそ、「生きる」だとかそれくらいのレベルの話までしたし。たぶんそれもコロナ禍が大きかったのかなと。

ーー竹達さんが最初にミトさんの名前をイメージしたというのも、今のミトさんの話を聞いていたらすごく納得しました。

竹達:すごいですよね、こんなに安心できる人もいないんじゃないかってくらい。ボイスメモを録っていたのはびっくりしましたけど(笑)。でも、私も基本的に文字に残しておきたいタイプなので、ミトさんの気持ちもすごくわかります。

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