アニメ『セーラームーン』シリーズ彩る名曲たち 「ムーンライト伝説」から「月色Chainon」まで、大人も惹きつける魅力を考察

 そしてファンの間で名曲と名高いのが、セーラー戦士たち5人が歌う「Moon Revenge」。この曲は、うさぎと他の戦士たちの関係が詳細に描かれ、彼女たちの絆を強く感じさせるシリーズ初の劇場版『美少女戦士セーラームーンR』のエンディング主題歌となった。一度はうさぎが命を落としてしまうほど壮絶な戦いを乗り越えた後に流れる曲とだけあって、聴くだけで当時の感動が蘇り、泣いてしまうという人も多いようだ。『美少女戦士セーラームーンR』はアニメシリーズの2作目なので、“R”=「リターン」と思われるが、この曲によって「リベンジ」とも解釈できる。シリーズ1作目はセーラー戦士たちが次々と戦死するという歴史に残る衝撃的なラストだっただけに、Rの映画で命をかけてみんなを守ったうさぎの気概、そして志を共にする戦士たちの強い想いが「Moon Revenge」の鬼気迫るメロディにも表れていた。

「月色 Chainon」Short ver./ももいろクローバーZ with セーラームーン&セーラーマーキュリー&セーラーマーズ&セーラージュピター&セーラーヴィーナス

 時が流れ、劇場版『美少女戦士セーラームーンEternal』の主題歌はももいろクローバーZ with セーラー5戦士が担当する。主題歌「月色Chainon」は長い歴史のある『セーラームーン』の世界観を引き継いだ、セーラー戦士たちの強さと慈愛に満ちた心を感じさせる壮大なメロディと歌詞に。作曲を担当した小坂明子は、うさぎのタキシード仮面に対する切ない想いを歌った「タキシード・ミラージュ」なども手がけている(ちなみに作詞の白薔薇sumireは武内直子の別名義)。また、前編のEDテーマにも後編の「“らしく”いきましょ」と同様に、過去のアニメシリーズから秋元康作詞の「私たちになりたくて」を使用。声優陣はうさぎ役の三石琴子以外一新され、絵柄も新しくなった『美少女戦士セーラームーンEternal』。新旧揃い踏みの楽曲とともに、新たな時代の訪れを感じ、もうすぐ30周年を迎える伝説の作品『セーラームーン』の世界観をあらゆる年代の人に堪能してほしい。

■苫とり子
フリーライター/1995年、岡山県出身。中学・高校と芸能事務所で演劇・歌のレッスンを受けていた。現在はエンタメ全般のコラムやイベントのレポートやインタビュー記事を執筆している。Twitter:@bonoborico

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