西川貴教に聞く、2020年のマルチな活動ぶりとエンタメへの向き合い方 「これが本当に自分の生きる道」

西川貴教に聞く、2020年のマルチな活動

作品の強さとどう張り合えるかという部分で生まれてくる面白さ

ーー今回の『アズールレーン』もそうですけど、西川さんはこれまでもさまざまなコンテンツに楽曲提供をしてきました。中でも最近は『仮面ライダーゼロワン』や『ポケットモンスター』もありましたし、それ以前にも『機動戦士ガンダム』シリーズといった国民的作品に携わることも少なくないです。

西川:本当にありがたいです。なかなかいないですよね、『仮面ライダー』と『ポケモン』を同時にやっている人は(笑)。でも、いずれにおいてもその作品の強さとどう張り合えるかという部分で面白さが生まれてくると思うんですよね。どこかに“乗っかっている”と、結果、単なるタイアップで終わってしまう。同じように張り合えるパワーで並ぶからこそコラボレーションになると思うので、そういった意味で今年は一年を通じていいコラボレーションをたくさんさせてもらえたなという印象ですね。

ーーその感覚って、最初にタイアップに携わるようになった頃から持っていたものですか?

西川:いやいや、最初の頃はお話をいただけるだけでありがたいっていう感じでした。最初に印象的だったのが『るろうに剣心』。その頃ってタイアップをきっかけに本当にたくさんのヒット曲が生まれて、アーティストとしてもワンステップ、ツーステップ先に進めたというのが目に見えて分かるような状態でしたし。そういった意味でも、作品として、ご覧いただいているみなさんに気に入ってもらえるかどうかはもちろんですけど、映像を制作されているみなさんに僕が携わる楽曲を愛してもらえるかどうかで飛び方が変わってくるんです。そこが自分にとって一番の指標であり、同時に自分が作った作品が次のハードルにもなる。中には10年とか15年とかお付き合いしている作品もありますが、前回で全部出し切ったつもりなのにありがたいことに「さらに上を」というおかわりの連続みたいなこともあります(笑)。

どれだけ裸でそこに行けるかが勝負

ーー一方で、2020年は中止になりましたが舞台が予定されていましたし、公開中の映画『天外者』や、昨年から今年にかけて放送されたNHKの連続テレビ小説『スカーレット』など、役者としても順調な一年だったんじゃないでしょうか。

西川:よもや自分の呼称に「役者」というものが入ってくるとは思いもしませんでしたけどね。ただ、こうやって機会をいただけたことで、「何もわからないけどやってみます」と腹を括ってやってみたから得られたものや出会いが、何倍にも大きくなって返ってくるので、いくつになってもどんな状態でも、挑戦したり飛び込む勇気って本当に大事だなと思います。役者の現場では本職の方と並ぶわけじゃないですか。自分がこれまで音楽で積み上げてきたキャリアで臨まず、どれだけ裸でそこに行けるかが勝負だと思うんです。特に『天外者』は時代劇で初めてのことばかりでしたし、しかも京都・太秦ですから、ある種作法のようなものがまだまだ色濃くあるわけで。それを面倒と思わずに「勉強させてください!」って飛び込んでいくと、中の方は温かく接してくれるんです。とにかくみなさん、モノ作りが好きな方々なんですよね。そういった方たちと一緒にお仕事させていただけたのは本当に貴重な経験でしたし、僕にとっても役者として本当に大きな転機になる作品になったと思います。

ーー今、演技のお仕事と音楽活動は切り離して考えていますか?

西川:自分が顧問をしている新規事業やイベントや音楽制作、お芝居、舞台が常に何層にも絡み合っているので、もう時期によって区切れないんですよね。以前はそこを時期で区切って、「ここまでは音楽、ここからはドラマ、ここからは制作期間」みたいに切り替えていかないとなかなかスイッチが入らなかったんですけど、今は分単位で切り替えていくスイッチに慣れたから、ドラマの現場で次の新曲の打ち合わせもしているし、ツアーをやりながら次のドラマの台本を読んだりしているし。本当に自分が何屋なのかわからないですけど、“我が人生をもってエンターテインメントと成す”みたいなところに気持ちとしてもなっているのかな。これまでは自分や自分の近しい人たちを幸せにすることがまずベースにあったけど、40代になってからは自分の存在や届けられるものが人や社会にどれだけ貢献できるかを目指していくのかなと。こういった話をするとすぐに政治がらみのことを言ってくる人が多いんですけど(笑)、そこじゃなくて。僕らでしか届けられないものがきっとあると思っているし、そこを信じてこれからもみなさんに喜んでいただけるものを届けていきたいなと思っているんです。

ーー西川貴教という名の総合商社感がより強まっているんでしょうね。企画もするし営業もする、なんなら実演までするという。

西川:そうですね。しんどいこともありますけど、これが本当に自分の生きる道なんだなという気はしています。

いかに自分がこれだ、と思うものに集中できるかが大切になる

ーー今年9月に50歳の誕生日を迎えましたが、ここから先何を残していけるか、そういうことは意識しますか?

西川:以前は横並びや周りの様子を伺ってというのがあったんですけど、今はむしろこういう状況だからこそ、新しい挑戦をあまり人の目を気にせずにやってもいいんじゃないかなと僕は思っていて。一過性のものに右往左往せずに、いかに自分がこれだと思うものに集中できるかがこれからもっと大切になってくる気がします。人の意見や評価ばかりを気にしていると、木を見て森を見ずみたいな状況がずっと続いて、起こりうる対策も日和見主義的に対処療法でしかなくなる。抜本的に変えようと考えていくと、あまり人の意見に左右されずに、自分が「これしかない! これで社会を変えるんだ!」というものにフォーカスして、そこに対してのノイズをいかに排除していくかが大切になるんじゃないかな。

ーーその姿勢って、今の世の中で最も必要とされていることなんじゃないでしょうか。

西川:そうかもしれませんね。この一年でそこに大きくスイッチされる方が増えているとは思いますけど、僕はこれを20年ぐらい前からダラダラやっているので(笑)。だから、あまり急速な変化はオススメしないですけどね。僕は本当に色々なことをやって、失敗したり傷ついたりして今の姿勢に至っているので、本当に無理せずにやれたらいいんじゃないかな、ということは伝えておきたいです。

西川貴教「As a route of ray」
西川貴教「As a route of ray」

■楽曲情報
西川貴教「As a route of ray」
(「アズールレーン」CMソング)
2020年12月30日(水)配信リリース

■関連リンク
西川貴教 オフィシャルホームページ
西川貴教 オフィシャルTwitter
西川貴教 オフィシャルInstagram
西川貴教 オフィシャルLINEアカウント

西川貴教サイン入りチェキプレゼント

サイン入りチェキを1名様にプレゼント。応募要項は以下の通り。

応募方法

リアルサウンド公式Twitter公式Instagramをフォロー&本記事ツイートをRTしていただいた方の中から抽選でプレゼントいたします。当選者の方には、リアルサウンドTwitterアカウント、もしくはInstagramアカウントよりDMをお送りさせていただきます。

※当選後、住所の送付が可能な方のみご応募ください。個人情報につきましては、プレゼントの発送以外には使用いたしません。
※当選の発表は、賞品の発送をもってかえさせていただきます。

リアルサウンド 公式Twitter
リアルサウンド 公式Instagram

<締切:1月13日(水)>

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる