ちゃんみな×SKY-HIに聞く、“ふざけ倒した曲”に潜ませたアーティストとしての願い「エンタメは人の心を幸せにするためにある」

ちゃんみな×SKY-HI 対談インタビュー

BMSGの動きはSKY-HIだから出来ること(ちゃんみな)

ーー話は大幅に変わって、SKY-HIくんは今年、株式会社BMSGを立ち上げ、代表取締役CEOに就任しました。

SKY-HI:僕らが10代の頃に感じてた苦悩や疑問を、今の10代の子たちも悩んでるんだなって感じることが多くて。それは10年以上この世界はなにも変わってなかったってことだと思うんですね。ただ過去と現在で違うのは「俺がいる」ってことなんですよ。だから俺がやらなきゃダメなんだって。

 実際、数年前から日本の芸能のシステムに対して、綻びや破綻を感じていたし、そのシステムの中には素晴らしい部分もあるけど、経年劣化が進んでる部分もある。ただ、システム自体が巨大客船みたいになってるから、方向転換が容易じゃないんですよね。細かく変えていくことが難しい。そうやって切り替えがうまくいかないことを大企業病って言ったりするけど、文化自体が大企業病みたいになって、 新陳代謝ががとにかく悪くなってる。結果として韓国芸能が世界で盛り上がる中で、日本の芸能は世界どころか、東アジアの中でも取り残されてる。それには自分も含めて関わってる人みんなに問題があると思うんですよね。ただそこで巨大客船を動かすの大変だから、もう新しい乗り物を作って、それで動き出すのが一番いいんじゃないかなって。それは会社のコンセプトである「才能を殺さないために」も。

ーー危機感が設立の要因だったと。

SKY-HI:そうですね。形やシステムが違ったら、世界的なスターになれてたかもしれないっていう才能は、本当に多いと思う。僕が仕事で関わる中でも、イケメンで、ダンスも出来て、歌も上手い30歳ぐらいの人は少なくない。でも話を聞くと「場所がなかった」ってみんな言うんですよね。だからその場所を作らないとなって。最初に契約したNovel Coreも、本来は不必要な「見られ方」と自分の才能とのアンバランスさが大変そうだったんで、そういう部分もサポートしていきたいんですよね。

ちゃんみな:BMSGの動きはSKY-HIだから出来ることだと思うし、それを追求してるから、それが形になったのは自分のことのように嬉しかったですね。みんな、こういう動きをやらなくちゃいけないとは薄々思ってるのに、二の足を踏んだり、いろいろな事情で出来なかったと思う。でも、そういう柵を破って新しい一歩を踏み出したことで、世の中を変えると思いますね。だから私が出来ることがあれば、協力は惜しまないし、バックアップできることがあれば言って欲しいなって。

ーーちゃんみなさんも以前のインタビューで、いずれは裏方に回ることも考えているとお話されていましたね。

ちゃんみな:そうですね。そのことは常に考えているし、SKY-HIと仲良くなったのは、そういった方向性や目指している部分が似ていたっていうのもあると思う。私の一番の目標はなにかって考えると、それは「自分の曲がずっと存在し続ける」ってことなんですね。それは自分が歌った歌、ってだけではなくて、プロデュースしたり、手掛けた歌っていう広い意味での「自分の曲」。私自身、ずっと歌い続けられるかは分からないし、たぶん自分が納得いくように歌えなくなる日も来ると思う。そうなった時に、例えばプロデューサーだったり、レーベルマネージャーとして、新しい才能に自分の曲を託したり、自分の経験を伝えたい。それを逆算して、いま自分はアーティストとしてどう動くかは考えてる部分はありますね。

ーー現在の動きもそれに向ける布石でもあるというか。

ちゃんみな:全部ではないですけどね。 ただ、「今だな」と思うときがきたら、自分の会社を立ち上げて、自分のアイデアやエンターテインメントが生き残るような動きを進めると思います。

ーーアートを作る、「アーティストである」ということが、「パフォーマーである」ということとイコールではなくて、もっと包括的にアートを表現していくという意識が、おそらく二人に共通しているということなのかなと思いました。

ちゃんみな:そうだと思う。でもパフォーマーであることが一番好きな二人ではあると思うんですよ。自分がパフォーマンスしてるのってめっちゃ好きでしょ?

SKY-HI:そうね。その適性もあると思う。これだけスター性を持っちゃってるから(笑)。だから、やれる限りはパフォーマーでありたいと思うんですけど、結局のところ、二人が一番大事にして、感謝してるのは「音楽があること」だと思うんですよね。だからその音楽をもっと広げていって、何かを変えたり、生きやすくしたいっていう願望がある。語弊を恐れずに言えば、商業的に成功している日本のアーティストやパフォーマーで、幸せそうな人が少ないって感じるんですよ。不必要な不幸がついて回りがちだし、それを何とかしたいっていう気持ちもありますね。

「今年は「しょうがない」で済んでたけど来年は通用しなくなる」(SKY-HI)

ーーこの曲がリリースされるのは2020年末なので、この「2020年」という年を振り返ると、どんな印象がありますか?

SKY-HI:自分としては「整頓の年」だったのかなって思いますね。

ちゃんみな:あ~。私もそうかもしれない。

SKY-HI:アーティストだったら、作品を作って、ツアーをして、っていう決まってる流れがあると思うんですけど、今年はそういう忙しない動きが物理的に難しかった。ただそれによって、音楽との向き合い方とか、自分を取り巻くシステム、未来のこと、人間としてのあり方……みたいな、自分自身と向き合う時間が増えたと思うんですよね。人によっては、それによって余計に精神的なダメージだったりを受けてしまった人もいるかと思うけど、自分自身として、音楽に集中することが出来たし、メンタルヘルスを整える時間になったと思いますね。そして、それによって本当に自分にとって必要なものとか、必要な考え方、必要な環境が整頓されたのかなって。生きる財産を得た年になったと思いますね。

ちゃんみな:1年間ずっと同じ悩みを抱える、しかもそれが世界中でっていうのは、本当にイレギュラーな年だし、私としてもずっと吊るされてるような感覚で。『Angel』を作ったタイミングは、コロナの第一波の時期だったので、自分でも想像しない言葉や内容が生まれたり。そうやって自分のマインドにも影響が出るなかで、嫌なこととか、不必要なものを省いていって、必要なものだけが残ったんですよね。だから自分を取り巻く環境や人間関係がすごくミニマムになったし、好きだったり心地いい人だけが残ったというか。だからこの中で残った音楽だったり、自分の周りの人達は一生残っていくんだろうな、って。その意味でも私も整頓の年だったと思います。

ーーそれが作品やアーティスト性にも作用しそうですか?

ちゃんみな:絶対に作用すると思う。エンターテインメントのあり方も変わってきたから、それも作用せざるを得ないし、それを形にする来年の方は、いろんなものを生産したり再生させる必要があるから、大変だろうな、と思うと同時に、ワクワクもしてますね。

SKY-HI:BMSGを今年スタートさせたのは、結果としてだけど良かったのかなと思いますね。ある種、なにも出来ないっていう最悪の状況から始められたんで、ゼロから種を蒔くことが出来たんじゃないかなって。ただ今年は「しょうがない」で済んでたけど、来年はそれが通用しなくなるだろうし、本質が試されるんだろうな、って。

ーー最後にこのタッグ作品はまた聴けそうでしょうか?

ちゃんみな:タイミングがあれば、ですね。またポロッと会話の中でアイデアが生まれたら。

SKY-HI:対バンもなくなっちゃったしね。ただ対バンが出来るようになった時に、二人で出来る曲はこれだけっていうのはちょっと困るよね。

ちゃんみな:夏には出来ないし。

SKY-HI:だから普通に格好いい、普通に素晴らしいものを作んないとな、とは思います。

ちゃんみな:そうね。二人でしっくりくる落とし所が見つかればすぐ出来ると思うんで。ただリクエストは止めて欲しい。「こういう曲をやって欲しい」とか言われると……。

SKY-HI:やりたくなくなっちゃうから。でも、それって正直深刻な問題なんだよなぁ。

ちゃんみな:ホントに言わないで欲しいし、なにか言われても無視! SNSで意見を見ちゃったら二人で共有しようよ。

SKY-HI:負担が半分になるかな。でも 二人に意見が来るだろうから、結果倍になったりして(笑)。

「Holy Moly Holy Night」
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■リリース情報
「Holy Moly Holy Night」
12月4日(金)配信

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