「現状維持のままでいると、終わってしまう」  藤川千愛が語る、歌手として常に“変化”を求め続ける理由

藤川千愛が語る、変化を恐れない向上心

2ndアルバムが思うように届かなくて悔しい

ーーご自身で本作の中でポジティブだなって感じる楽曲をあげるとするなら?

藤川:う~ん、3曲目の「誰も知らない」ですかね。コロナウイルスっていう見えない敵と戦っていて。明日がどうなるか、明日がどう変わってるかもわからない状況の中で、自分の微かに灯ってる光だけは絶やしたくない! って唄ってるから。明日のことなんて誰もわからないけど頑張っていこうっていう感じかな。

ーー〈今夜くらい希望とか歌えたらなって…〉と唄ってますし。また、「ワレモノ注意」では〈誰かの傷を癒せるような〉歌を唄えたらとあります。どんな歌を唄っていきたいですか。

藤川:もう、歌詞そのままですね。「ワレモノ注意」には〈季節外れの花火みたいに〉っていうフレーズがあるんですけど、自分の作った2ndアルバムが最悪な時期と被って、埋もれてしまったというか、思うように届かなくて、やっぱり悔しいなっていう気持ちもあって。だから、季節外れの花火みたいに、2ndアルバムの曲もどこかで輝いたらいいのになっていう思いも込めてる曲なんですけど、私はずっと、誰かの傷を癒せるような歌が唄いたいと思っていて。子供の頃から歌に救われてきたので、今度は私の歌で誰かを癒したいし、救いたいっていう気持ちが根本にありますし、ネガティブな曲もポジティブな曲も唄っていきたいなと思ってます。……カッコつけずに言えば、『Mステ』(ミュージックステーション)に出たいし、『紅白』(NHK紅白歌合戦)にも出たいし、売れたいですね(笑)。よりたくさんの人に届けたいって思ってます。

バケモノと呼ばれて/藤川千愛(TVアニメ『無能なナナ』EDテーマ)

ーーより多くの人に歌を届けるという意味では、アニメも千愛さんの歌を知る入り口の一つになってると思います。アニメ『無能なナナ』のEDテーマで、先行配信中の「バケモノと呼ばれて」にはどんな思いを込めましたか?

藤川:原作を読んで作りました。能力がある人もない人もそれぞれ葛藤しているんですけど、それは、現実世界でもあることだなと思って。能力がある人は、その能力を維持したり、もっと成長していかないといけないと思うだろうし、能力がない人は能力がある人を羨んで嫉妬したり、能力を得るために葛藤したりする。私もない方なので、いつもすごいな、いいな、なんで私は出来ないんだろって感じてて。そういう、それぞれの葛藤があるっていうことを唄ってますね。

ーー歌に関しては千愛さんも能力者だと思いますけどね。MVはどんなイメージで撮りました?

藤川:監督の柿本ケンサクさんにお任せした感じですね。曲を聴いていただいて、感じたままに撮ってもらいました。私は特に何かをしたっていうわけでもなく、場所も動いてないので、今までで一番早く終わって。正直、出来上がるまでは少し不安でした(笑)。

ーー(笑)。千愛さんもデザインの一部のようになっていたので、素材を撮ってたんでしょうね。ただ、最後だけ、ちょっと微笑んでるのが意味深でした。

藤川:自分では気づいてなくて。後から言われて、あ、笑ってたんだって思ったんですね。歌の世界に入ってて、〈もうちょっとだけ/世界を許してみようかな〉の部分だったので、自然と笑顔が出たのかなって思います。

「変わった変わった」と言われるたびに疑問を感じる

ーー許すっていうのもポジティブ寄りの感情ですよね。一方、「私に似ていない彼女」や「四畳半戦争」は洗練されたサウンドながらも、歌詞は怒りを含んだ過激な言葉になってて。

藤川:過激って言われるんですけど、正直、全然そう思わなくて。過激なんだってびっくりしちゃったくらいなんですね。「私に似ていない彼女」は、元彼のことを話す女の子の心情をイメージしていて。女の子同士の友達と話していると、元彼のことをみんなボロクソに言うんですよ。

ーー男子はみんな、元カノを大事な思い出にしてますよ。

藤川:えー! やばい。びっくり(笑)。

ーーこの曲をどうして1曲目にしました? 男子にはぐさっとくる曲ですが。

藤川:絶対に1曲目にしたかったんですよ。最初、ラジオボイスで始まったり、セリフが入っていたりもして。今までになかった曲だし、大好きな曲なので1曲目にしたかったんです。

ーー続く「四畳半戦争」も歌詞は攻撃的です。

藤川:これは完全なる実体験ですね。普段、ファンの方々に「変わったね」とか、「変わらないでほしい」とか、「千愛ちゃんらしくない」とか、結構、言われて。いろんなジャンルを唄ってるので、曲を出すたびに、「変わった変わった」って言われるんですけど、言われるたびに疑問を感じてて。でも、この曲を作ろうと思ったのは、地元の昔からの友達に「なんか無理してない? 千愛らしくなくない?」て言われて、カチンときたのがきっかけですね(笑)。

ーーあはははは。ほんとに実体験ですね。

藤川:そうですね。私は常に変わっていきたいと思っていて。現状維持のままでいると、終わってしまうというか、どんどんダメになっていくんじゃないのかなって思うんですね。だから、なんでそんなこと言うんだろうなっていう、いつも悲しい気持ちになる。きっと同じような経験をしてる人もいると思うんですよ。身近な人に言われたのが辛かったんですよね。

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