Rain Drops『オントロジー』先行レビュー:6人の歌声とロックを軸とした多様な作家陣が織りなす、音楽作品としての面白さ

 Rain Dropsが11月25日、2ndミニアルバム『オントロジー』をリリースする。

 Rain Dropsとは、多種多様なインフルエンサーが所属するVTuber/バーチャルライバープロジェクト・にじさんじに所属する6名からなるユニットである。今年5月に発売された1stミニアルバム『シナスタジア』は、オリコン週間合算アルバムランキングやBillboard JAPAN総合アルバムランキングなど各チャートで11冠を獲得。いま最も注目の集まっているVTuberグループのひとつだ。メンバーは緑仙、三枝明那、童田明治、鈴木勝、える、ジョー・力一の6人で構成されていて、それぞれがネット上で生放送や動画投稿などの活動している。

 最近はこうした“声”を駆使してニコ生やYouTubeなどから派生していくグループが増えてきたが、その多くは10代や20代の男性だけで構成されていたりといった、ある種アイドルグループ的な人気のユニットが多い。しかし、Rain Dropsが面白いのは、性別も(非公開のメンバーも含めて)統一されておらず、バラエティ豊かなメンバーが集まっている点である。小学生からピエロまで設定上の年齢も種族もばらばら。つまり、純粋に6名それぞれの歌声やキャラクター性を楽しむコンテンツとしての魅力が強いのだ。

 また、バーチャルライバーを多数抱えるにじさんじの中でも、特にRain Dropsは音楽へのこだわりが強い。たとえば、現在人気沸騰中のバンド・ポルカドットスティングレイのウエムラユウキや、cadodeのeba、前作アルバム『シナスタジア』の制作にも参加したヒトリエのゆーまお、といった日本のロックシーンの一線で活躍するプレイヤーたちが参加。さらに今作には『カゲロウプロジェクト』の作者としても知られるアーティストのじんや、ネットミュージックシーンで話題の柊キライとツミキが楽曲を提供している。こうした多方面に渡る作家陣の存在によって、“曲から好きになっていく”ファンも多いだろう。

 6人のボーカルワークをじっくりと堪能することができるバラード曲の「雨言葉」に対して、続く2曲目の「ラブヘイト」は6人の歌声の化学反応を楽しめる激しいロックチューン。まっすぐに耳に入ってくるえるの歌声や、おっとりとした雰囲気もありつつ幼さのある童田の声質、聴き手を優しく包み込むような温かいボーカルのジョーなど、個性豊かな声質を持った6人が集まることで、それが同時に耳に届くときの破壊力は抜群。こうしたボーカルグループものの醍醐味を存分に味わうことができる。

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