ALI、『呪術廻戦』EDテーマがバイラルチャート急上昇 “聴き手のシチュエーションを視覚化”したこともヒット要因に?
漫画好きの間では“すでに来ている”『呪術廻戦』。アニメの2話目から公開されたエンディング映像が素晴らしい。メインのキャラクター達が次々と私服で登場し「LOST IN PARADISE feat. AKLO」に合わせて踊る内容だ。作画も本編とは異なり、ラフなタッチで大胆な色付けを施しており、抜け感あるオシャレな仕上がりである。そしてそのアニメーションが「LOST IN PARADISE feat. AKLO」のもうひとつのMVといっていいほど、楽曲とマッチしているのだ。アニメのメインキャラクターが“オン”の状態でなく“オフ”の状態で登場しているのも、シチュエーションで音楽を選ぶことが多いサブスクリプション音楽配信サービスのニーズが視覚化された印象である。つまり聴き手がライフスタイルの中で、同曲を聴くシチュエーションをトレースできるのだ。「LOST IN PARADISE feat. AKLO」は、アシッドジャズを彷彿させるサウンドにヒップホップ要素を加えた大人っぽいクールな曲であるが、リスナーのシチュエーションが視覚化されたことで、万人にスムースに受け入れられる一因になったのではなかろうか。
4月から6月までBS日テレほかにて放送されたアニメ『かくしごと』のエンディングアニメも、エンディングテーマに使用された大瀧詠一の「君は天然色」が一部でブームになるほど素晴らしい出来栄えだったが、そこに匹敵するクオリティである。そしてこのハイクオリティな“日本が誇る芸術”の中で、埋もれることなく存在感を発揮している「LOST IN PARADISE feat. AKLO」もまた、日本が誇っていいハイクオリティな芸術である。
■伊藤亜希
ライター。編集。アーティストサイトの企画・制作。喜んだり、落ち込んだり、切なくなったり、お酒を飲んだりしてると、勝手に脳内BGMが流れ出す幸せな日々。旦那と小さなイタリアンバル(新中野駅から徒歩2分)始めました。
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