ひらめ「ポケットからきゅんです!」なぜ社会現象に? 聴く者を惹きつける楽曲のツボ、アーティスト性を考察
では、「ポケットからきゅんです!」を歌うひらめとは何者か?
彼女は、2014年にシンガーソングライター井上苑子や大原櫻子に憧れて、遊びで曲を作りはじめたという。2016年、高校生の時に初めてギターを購入し、しかしながら早速の挫折……。その後“やっぱり弾きたい!”と再度練習に打ち込む。
ここまでは普通だ。
しかし、2020年3月、コロナ禍の影響もあって仕事が休みになったことをきっかけに、TikTokへ弾き語り動画をアップしたというのだから世の中何が起こるかわからない。その後、TikTokでの認知度を広げながら、6月にアップしたオリジナル曲「ポケットからきゅんです!」が約600万いいねを超える大ヒットに。
ヒットの要因は、広告界でいうところの、コピーライター顔負けな、時代に残るキャッチーなパワーワードであるリリック(歌詞)だ。
ポケットからきゅんです! え?何落としたの?きゅんです!
君がくれたきゅんです! でも君にあげられなくてシュンです。
ティーンの気持ちを鷲掴みにした言葉選びが秀逸なのだ。ネット時代、情報過多で一瞬のうちに情報が流れてしまうなか、リスナーの気持ちを掴むには時代と寄り添った強力に魔法めいたフレーズを必要とする。まさに、ひらめによる「ポケットからきゅんです!」は、そのお手本のような作品となったといえるだろう。
さらに注目したいのが、TikTokでリスナーのコメントからインスパイアされてアコギ弾き語りで作った作品の投稿だ。インタラクティブなチャレンジは、すでにシリーズ化されYouTubeへ現在7本がアップされている。さらに、ひらめはなんと1時間で5曲作ることができるという作曲能力を備えている。その能力を生かしたファンとの交流から生まれるフレキシブルな活動は、今後、ネット時代のクリエイティブの最新系として注目すべき動向だ。
顔出ししないながらも、ほんわかとした人柄の良さを感じさせるTwitterの更新、TikTokやInstagram、YouTubeへの積極的な楽曲投稿。そしてストリーミングサービスでオリジナル楽曲をリリースしはじめた、TikTok発の新世代アーティスト、ひらめ。引き続き注目していきたい、自らの言葉を持つ逸材だ。
■ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)
Yahoo!ニュース、J-WAVE、NHK、Spotify、LINE MUSIC、AWA、ミュージックマガジンなどで書いたり喋ったり選曲したり考えたり。Spotifyで公式プレイリスト『キラキラポップ:ジャパン』を毎週火曜日更新で選曲中。
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