早見沙織、降幡愛、内田雄馬、『Paradox Live』……多彩な音楽ジャンル味わえるアニメ/声優ソングの注目作

 世間ではアニメや声優の音楽を一括りに扱うことが多いですが、もちろんその内容は多種多様。そもそもアニメやキャラクターコンテンツに関わる楽曲、あるいは声優が歌っている楽曲であれば、どんな音楽性であっても“アニメソング/声優ソング/キャラクターソング”と括ることができるわけで、結果として、そこには様々なタイプの音楽が存在することになります。今回は、そういった音楽ジャンルとしての多彩さを味わうことができる、アニメ/声優ソング周辺の注目新譜をご紹介します。

早見沙織
早見沙織『GARDEN』

 最初に取り上げるのは、今年でアーティスト活動5周年を迎えた声優・早見沙織によるミニアルバム『GARDEN』。アーティストデビュー前から数々のキャラクターソングでファンを魅了し、女性声優のなかでも随一の歌唱力の持ち主として人気を集める彼女。音楽鑑賞を趣味に挙げ、ジャズボーカルを習っていた経験を持ち、作詞のみならず自身で作曲も行い、さらにライブでは自らキーボードを弾くこともあったりと、音楽偏差値の高さでも知られています。

 そんな彼女の作品には、いわゆるソウル/ジャズ/ファンクのテイストを採り入れたグルーヴィーな楽曲も多く、アーシーなゴスペル調ナンバー「Let me hear」、シティポップ路線の「メトロナイト」、DJ/プロデューサーのKenichiro Nishiharaが楽曲提供したジャジーヒップホップ×AOR風味の「yoso」(Michael Kanekoも作曲に関与)など、洗練されたサウンドが持ち味のひとつとなっています。

 ほぼ全曲の作詞・作曲を自ら手がけた最新作『GARDEN』も、彼女らしい魅力が詰め込まれた作品に。表題曲「garden」では冨田ラボの冨田恵一をアレンジャーに迎え、パイパーなどのデジタルビートを敷いた80’sシティポップにも通じる、ライトメロウなシンセファンクを展開していたり(MVも画面比率を4:3に設定した昔の映像風に)、松本良喜が編曲した「瀬戸際」はビターな香りの充満するアーバンポップに仕上がっていたりと、お洒落で粋なサウンドがたっぷり。アーティストとしてのデビュー曲「やさしい希望」を、ライブではお馴染みとなっているボサノヴァアレンジで新たに録音しているのも、5周年ならではの特別感が感じられます。なにより主役の上品で優雅な歌声が、これらのサウンドと素晴らしくマッチしており、うるさ型の大人も唸らせるであろう、高品質なポップス集になっています。

早見沙織「garden」MUSIC VIDEO
降幡愛
降幡愛『Moonrise』

 ちなみに海外でのブームを受けて逆輸入的な盛り上がりを見せているシティポップ再評価の波は、アニメ/声優ソング界隈にも押し寄せているようで、『ラブライブ!サンシャイン!!』のAqoursのメンバーとしても活躍する降幡愛が、9月23日にリリースするデビューミニアルバム『Moonrise』は、そのものズバリ“80’sシティポップ”をテーマにした作品に。プロデューサーの本間昭光を迎え、バブル前後の空気を封じ込めたようなアーバンデジタルポップ「CITY」など、まだJ-POPという言葉が定着する前のジャパニーズポップスのクリシェを散りばめた世界観を広げています。

降幡 愛「CITY」Music Video
西山宏太朗
西山宏太朗『CITY』

 さらに10月7日にリリースされる西山宏太朗のデビューミニアルバム『CITY』も、シティポップをコンセプトにしているとのこと。先行曲「真昼どきのステラ」は、ORESAMAのぽんが作詞、でんぱ組.incなどへの楽曲提供で知られる三好啓太が作曲・編曲を担当。こちらは往年のサウンドを踏襲するというよりも、いわゆる2010年代以降にリバイバルされたシティポップの流れを汲むようなサウンドになっています。なんでも彼はtofubeats「ディスコの神様」をきっかけにディスコにハマり、そこからシティポップを聴くようになったのだとか。

西山宏太朗『真昼どきのステラ』~Music Video~span>

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