the peggiesが描く“大人になりきる直前の不確定な揺らぎ” アニメ『彼女、お借りします』など物語との親和性を探る

the peggiesとアニメ主題歌の親和性

 10代、20代の若い男女からの強い支持を受け、数々のタイアップを着実にこなし、まさに今、ロックバンドシーンのスターダムを駆け上がらんとしているthe peggies。そんな彼女らが8月26日にCDリリースする『センチメートル』の表題曲は、TVアニメ『彼女、お借りします』(TBS系)のオープニングテーマとなっている。

 物語の始まりはこうだ。彼女に振られたばかりでメンタルどん底の大学生・木ノ下和也は、やけっぱちになって「レンタル彼女」を申し込む。当日待ち合わせ場所に現れたのは、超美少女の水原千鶴だった。仕事中は完璧な彼女を演じてくれる千鶴だが、偶然プライベートで顔を合わせた時には完全な塩対応で、結局はレンタル彼女、と和也はがっかりする。だが、見栄を張ってついた嘘のせいで、友人や祖母に対しても恋人同士だと騙しきらなければならなくなり、和也は千鶴に協力を頼むことになる。一緒に過ごす時間が長くなるうち、徐々に千鶴に惹かれていく和也。レンタルする側とされる側でしかなかった「借り物」の恋は、「本物」の恋に変わるのか? 『彼女、お借りします』は、そんなちょっとひねくれた青春恋愛ストーリーだ。

 オープニングとなる「センチメートル」は、冒頭の5秒でカラフルなきらめきが目の前に舞うような、ワクワク感がはじけるようなナンバーだ。〈運命なんて言えない/あと何センチ近付けば良いんだろう/君がいいと言えないまま見つめてる後ろ姿〉。

 まず、歌いだしのこのフレーズが象徴的だ。レンタル彼女とその客という契約で始まった和也と千鶴の関係性。始まりの時点で嘘や、後ろめたさや、かりそめという言葉がまとわりつく、一筋縄ではいかない恋だ。本気になること、本音を告げること、何をするにも一歩ためらってしまうような和也の心情が、この冒頭に詰まっている。

 それでも、気づいてしまった思いは止められない。

〈君が眩しい程 僕は情けなくなってく〉

〈君がいいと言えば追いつけるのかな 届くのかな〉

 不安も情けなさもさらけ出した詞が、だからこそたまらなくピュアだ。君との距離を測りながら、いつかそれをゼロに詰めたいと願う甘酸っぱい思いを、北澤ゆうほが清涼感あるポップなボーカルで盛り上げていく。

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