ユニゾン、People In The Box、fox capture plan…トリオバンドの魅力を再確認できる新作

 ギター・ベース・ドラム、もしくはピアノ・ドラム・ベース。必要最小限の楽器で構成されるトリオバンドの音楽は、音数が制限されるからこそ生まれるアイデア、そして、演奏者のセンスとテクニックをダイレクトに感じることができる。今回は現在のロック、ジャズのシーンを代表するトリオバンドの新作を紹介。それぞれの作品に息づく独創的なアンサンブルをじっくりと楽しんでほしい。

UNISON SQUARE GARDEN『MODE MOOD MODE』(通常盤)

 配信シングル「Silent Libre Mirage」、シングル「10% roll, 10% romance」「Invisible Sensation」「fake town baby」以外の収録曲は、“楽曲のタイトル、曲順を発売日まで伏せる”という仕掛けが施されたUNISON SQUARE GARDENの7thアルバム『MODE MOOD MODE』。思い切りポップに振り切ったナンバー、スカ、ロカビリーのテイストを反映させた楽曲まで、このバンドの幅広い音楽性がたっぷりに体感できる作品に仕上がっているが、その中軸を担っているのはメンバー3人の高度なアンサンブル。“そんな難しいリフを弾きながらよく歌えるね!”と言いたくなる斎藤宏介のギターとボーカル、緻密に組み立てられたコード構成をド派手なフレーズで体現する田淵智也(Ba)、そして、フュージョン的テクニックとロックのダイナミズムを併せ持った鈴木貴雄(Dr)。トリオバンドとしてのさらなる充実ぶりが感じられるのも、本作の大きな魅力だ。

UNISON SQUARE GARDEN「君の瞳に恋してない」ショートVer.
the peggies『super boy! super girl!!』

 メジャーデビュー以降にリリースしたシングル曲「ドリーミージャーニー」「BABY!」はthe peggiesのポップサイドを強調した楽曲だった。J-POPリスナーにもアピールできるポップな曲はもちろんこのバンドの武器だが、ライブにおけるロックバンド然とした姿とのギャップがあったのも事実。その距離を埋めてくれるのが本作『super boy!super girl!!』だ。特にロック的なパワー感を打ち出した1曲目の「GLORY」、2曲目の「ネバーランド」には、北澤ゆうほ(Vo / Gt)、石渡マキコ(Ba)、大貫みく(Dr)の音がぶつかり合うことで生まれる強靭なグルーヴが渦巻いている。中高生の頃からライブハウスに通い、THEE MICHELLE GUN ELEPHANT、BLANKEY JET CITYなどを敬愛する3人のルーツが感じられる意欲作と言えるだろう。そう、ロックとポップの絶妙なバランス感覚こそが、彼女たちの本質なのだと思う。

the peggies 『ネバーランド』(Music Video)
People In The Box『Kodomo Rengou』

 変拍子(ときどきポリリズム)を交えたリズム構成、転調と不協和音を効果的に取り入れたコード進行、トリッキーかつドラマティックなメロディライン、そして、ストーリー性に頼らず、刺激的なイメージをカットアップするような歌詞。デビュー10周年のアニバーサリーイヤーを締めくくる約3年半ぶりのオリジナルアルバム『Kodomo Rengou』は、People In The Boxの独創性を徹底的に突き詰めた作品となった。「Kodomo Rengou」というタイトルは言い得て妙、子供たちが自由に遊びまくっているようなアイデアが散りばめられた本作は“バンド”“ロック”“音楽”という概念を揺さぶる圧倒的な刺激に満ちている。

People In The Box「かみさま」Music Video

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