嵐 大野智、『怪物くん』『魔王』などで見せる非凡な演技力 ひとクセあるキャラたちが並ぶ主演作品を考察

 大野は役作りについて問われると「苦労しました」「努力しました」と言うより、役によっては「何も考えてない」と答えることがある。これは大野が現場に立つ時、すでに役作りは完成しており、何も考えずとも“役”として存在しているからに過ぎない。俳優としての大野は、演じる役柄を高い考察力で徹底的に分析し、自分のものとするために見えない努力を重ね、期待以上の結果を出す。それが俳優 大野の美学ではないだろうか。ストイックな姿勢で芝居と向き合う姿と、常日頃の物静かな飄々とした大野とのギャップから、その演技力を“得体が知れない”と評されることも多い。

 今回再放送が決定した『怪物くん』も、大野の本気モード全開の演技で、大人から子供まで大いに楽しむことができる名作だ。大きな耳とおなじみの赤青帽子、黄色いセーターに半ズボン。ドラマに嵐の大野の姿はなく、間違いなくおこりんぼうでわがままで恥ずかしがり屋で実は優しい心を併せ持つ「怪物くん」だ。コミカルとシリアスを演じ分け、特殊メイクも違和感なく馴染む圧倒的な演技力、激しい殺陣も厭わぬ運動神経、特殊メイクでさらに愛らしさを増すビジュアル。俳優の中で、これほど完璧に怪物くんを演じられるのは大野ただ一人ではないかと思う。

 愛すべき怪物ランドのプリンスが愉快痛快な物語を仲間と共に繰り広げる『怪物くん』ワールドに、あっという間に引き込まれていく楽しさを今一度体験できることを楽しみに放送を待ちたい。加えて、その他の大野主演作品の再放送にも期待したい。

■北村由起
ライター・エディター。出版社勤務、情報誌編集長を経てフリーに。情報誌、webマガジン、ムック等を中心に執筆。ジャニーズウオッチャー。@yukkisetouchi

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる