新人育成枠WAgg、メジャー目指すCARRY LOOSE……各グループが果たしてきた役割とは? WACK所属グループの特性を分析
さて、今回はWACKの所属グループとしてもうひとつ、キャリルーことCARRY LOOSEを紹介したい。
2019年6月にカレールーず(仮)として結成が発表され、同年9月にCARRY LOOSEとして始動したこのグループは、メンバー全員がステージ経験者で構成された4人組だ。松隈ケンタ率いるSCRAMBLES内のクリエイターユニット T.S.Iがサウンドプロデュースを担当。その音楽は、エモーショナルなバンドサウンドを軸としており、メンバーは感情をむき出しにして歌詞を届けていくことに重きを置いているという。時に寄り添い、時に背中を押してくれるその優しさで、聴き手に感動を与えたり、心をほぐしてくれたりする、エモくてカッコいいパフォーマンスが、CARRY LOOSEの大きな魅力だ。
メンバーそれぞれの経歴と注目ポイントについても触れていこう。
パン・ルナリーフィは、解散した第2期BiSの元メンバー。“人生そのもの”として捉えている節すらあったBiSが解散し、悩みながらもWACKに残ることを決意した彼女の武器は、そのまっすぐな性格でひたすらに磨き上げてきた歌唱の感情表現。聴き手の心を突き刺すような彼女の歌声は、グループにとって重要な“エモさ”を担っている存在と言えるだろう。
YUiNA EMPiREは、EMPiREと第2期BiS、ふたつのグループの変遷を経ており、WACKのグループとしてはCARRY LOOSEが3度目の挑戦となる。苦労人とも捉えられる経歴を持つ彼女だが、何度心が折れそうになっても前を向き続ける気高い精神、加えて、女性的でかわいらしい声質に、キレと安定感のある歌唱と、様々な面でファンを魅了している。
先述のWAggから昇格したウルウ・ルは、一度聴いたら忘れられないウェットな歌声が魅力。作詞センスも素晴らしく、歌詞から浮かぶ情景、単語のセンス、視点の鋭さには感嘆するばかりだ。普段はクールだけれど、活動に対する姿勢はとにかくストイックで、内には熱い想いを秘めている。ライブ中に見せることの多くなった笑顔も人の心を惹きつけてやまない。
天真爛漫で太陽のようなキャラクターのユメカ・ナウカナ?は、とにかく元気。もともと彼女は、カバー曲を中心にパフォーマンスするアイドルグループに所属していた。当時培っていたアイドルらしい歌い方と、WACKに入ってから磨いた力強い歌い方のハイブリッドは唯一無二。「たんたかたんたんたん」に代表される、独特すぎる歌詞の世界観も異彩を放っている。そして、とにかく元気。
このように、異なるバックグラウンド、ストーリーを持つ4人の個性で届けられるエモーショナルな歌唱と歌詞、そしてT.S.Iの「T:トラック、S:凄く:I:いい」なサウンドが、CARRY LOOSEをCARRY LOOSEたらしめているのだ。
先日、結成タイミングで言えば後輩グループにあたる豆柴の大群のメジャーデビューが発表され、WACK所属グループでメジャーデビューをしていないのは、新人育成枠のWAggを除いてCARRY LOOSEだけになった。そんな彼女たちは、この記事の執筆時点で『CARRY LOOSEのCARRY OF MAJOR 24時間まるみえです。メジャーデビューするまで帰れません!!!』と題した、メジャーデビューを目指す生配信を放送し続けている。実力は申し分なし、メジャーに向けて燃えている彼女たちの動向に熱視線を向けてもらいたい。
CARRY LOOSEとWAgg、この2組がWACKシーンをさらに熱くしていく。
■宮﨑大樹
音楽メディア「激ロック」、「Skream!」のライター、インタビュアー、編集者。
バンド、シンガーソングライター、アイドルなどの記事を執筆。オフィシャルライターも務める。
Twitter(@daiki_miyazaki)