嵐 相葉雅紀、重ねた努力と素直さがもたらした確かな“演技力” 俳優としての魅力を主演作などから考察

 8月22日、23日に放送される『24時間テレビ43』(日本テレビ系)。番組内でスペシャルヒューマンストーリーとして『誰も知らない志村けん -残してくれた最後のメッセージ-』(22日21時頃放送予定)と題し、今年亡くなった志村けんの特集が放送されることになった。ドラマパートでは主演の重岡大毅(ジャニーズWEST)が『天才!志村どうぶつ園』(日本テレビ系)開始時から志村と共に歩んできたディレクター役を演じるが、同番組で共演していた嵐の相葉雅紀の出演も決定した。本稿では、これまで相葉が出演したドラマを振り返りながら、彼ならではの演技、表現の魅力を考察したい。

努力を重ね舞台で培った確かな演技力がベース

 相葉の代表的なドラマについて語るとき、まず舞台での経験について触れておきたいと思う。ジャニーズJr.時代から二宮和也、松本潤、生田斗真らと『STAND BY ME』(1997年)などに出演してきた相葉。個人としては『燕のいる駅』(2005年)をはじめ、『忘れられない人』(2007年)、『グリーンフィンガーズ』(2009年)、『君と見る千の夢』(2010年)で自身が“おかあちゃん”と呼んで慕う演出家・宮田慶子とタッグを組み、難しい題材に果敢に挑戦し好評を博した。

 宮田氏は2012年にコメント出演した番組『あさイチ』(NHK総合)で、当時の相葉の様子について問われ「私の注文に応えられなかった時はものすごく悔しいんですね。みるみる顔が紅潮していく。あまり悔しいと涙ぐんでしまう。私が出した注文は宿題として抱え、悶々と朝まで悩み、寝てないけど“いや、大丈夫です”とやってくる。人の何倍も実は裏で努力してきてるのは最初の頃から感じてました」と相葉について語っている。普段見せる天真爛漫な表情の裏で、努力を重ね、芝居に挑む真摯な姿勢は、舞台で培われていたのではないだろうか。

素直な姿勢で芝居に向き合う、俳優としての強み

 自身の連続ドラマ初主演となった作品が2009年の『マイガール』(テレビ朝日系)だ。写真スタジオで働く青年・笠間正宗と亡くなった恋人の娘・コハルとの愛情を描くヒューマンドラマ。相葉は、我が子だというコハルと暮らす戸惑いや、亡き恋人への気持ち、仕事での葛藤など心の変化を丁寧に演じてみせた。回を重ねるごとに変化するコハルと正宗の関係性に、当時目を離せなくなった人も多かったのではないだろうか。

 2011年の『バーテンダー』(テレビ朝日系)では天才バーテンダー役に挑戦。相葉が演じたのは日本人で初めてヨーロッパのカクテルコンテストで優勝し、パリで腕を振るっていた天才バーテンダー・佐々倉溜。バーに訪れる仕事や恋、家庭内の問題に悩む様々な客たちを、思いやりと一杯のカクテルで解決に導いていく役どころだ

 ドラマで共演した津川雅彦氏も先にふれた『あさイチ』にコメント出演した際、相葉の所作や芝居について「(バーテンダーの所作を)何日勉強したのか、何カ月やったのか分からないが習得しちゃった。自分の気配で “間”を取っていく美意識がある。素直になっていないと自分の美意識は出てこない。素直でいることは、ものすごく大事な根性だし、魅力だし、信念だと思う」と絶賛。2020年8月8日に放送された『嵐にしやがれ』の「隠れ家ARASHI」のコーナーでは久々にバーテンダーパフォーマンスを披露した相葉。ドラマの放送時には相葉の洗練された立ち振る舞いの美しさがバーテンダー業界でも話題になっていたのだという。「頑張って良かった」と笑う相葉だったが、当時の努力を重ねた日々を懐かしく思い出したのではないだろうか。

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