嵐、『カイト』通算54作目のチャート首位獲得 社会性とパーソナルな側面が交錯する、新たな表情のシングルに

 通常盤カップリングの「Journey to Harmony」もまた2019年に発表されていた楽曲です。2019年11月9日に開催された「天皇陛下御即位をお祝いする国民祭典」では、菅野よう子の作曲による組曲「Ray of Water」が披露されましたが、その第三楽章に当たるのが、嵐が歌唱を担当した「Journey to Harmony」です。

 雄大なオーケストラとプログラミングが交錯するドラマティックなサウンドプロダクションは、菅野よう子ならではのもの。一方で、岡田惠和が作詞した歌詞は、「君が代」を意識したものと推察されます。それゆえに単純なラブソングとは趣きがかなり異なり、歌唱の難易度が高そうなのですが、それでも大きく変化していくメロディやサウンドに寄り添うかのように、嵐は繊細に歌いあげています。

日テレNEWS【国民祭典 奉祝曲Ray of Waterフルバージョン】

 他のカップリングも聴いていきましょう。「Sounds of Joy」と「僕らの日々」は、これまでも嵐の楽曲を手がけてきた作家陣が関わった作品です。「Sounds of Joy」は、サマーチューンかと思うほど爽快。「僕らの日々」では、軽やかに〈キミと僕〉の過去と現在と未来が歌われます。

 『カイト』は、いわば社会の方を向いた嵐と、パーソナルな嵐の両面が収録されたシングル。それゆえに前者に当たる「カイト」と「Journey to Harmony」では、嵐の新鮮な一面を見ることができるのです。

■宗像明将
1972年生まれ。「MUSIC MAGAZINE」「レコード・コレクターズ」などで、はっぴいえんど以降の日本のロックやポップス、ビーチ・ボーイズの流れをくむ欧米のロックやポップス、ワールドミュージックや民俗音楽について執筆する音楽評論家。近年は時流に押され、趣味の範囲にしておきたかったアイドルに関しての原稿執筆も多い。Twitter

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