狩野英孝=50TAに聞く、「ラブアース」など奇抜な楽曲を生み出す音楽遍歴「HYDEイズムがそのまま自然と芸になっている」

狩野英孝に聞く、50TAに繋がる音楽遍歴

「ラブアース」を愛してくれて本当にありがとう

ーー50TA企画のスタートは、2008年に『ロンドンハーツ』でオンエアされた企画「マジックメール」にて、狩野さんが秋山莉奈さんに「涙」という曲をレストランでプレゼントしたことが発端です。そこから12年たちますが、当時を振り返って思うことはありますか?

狩野:僕も50TA企画の総集編で改めて当時の自分の姿を見たんですけど、12年前の僕は目がバキバキしてるなって。今では出せない、若さゆえのパワーがあるんですよ。今だと芸人の第7世代がすごいってよく聞くじゃないですか。それで第7世代の番組を見ると、怖いものしらずというか、一回にかけるパワーが尋常じゃないんですよね。それは20代の頃の僕も一緒で、あそこで少しでも気を抜いたり、サボったりしていたら今はなかったと思いますね。自画自賛ではないですけど、20代の俺はすごいな、あのパワーは今出せないかもなって思いました。

ーー今はもう出せないですか?

狩野:あれは出そうと思って出せるものじゃないのかなって。「涙」の時だって、好きな子のためにレストランで歌うのも今はさすがに……羞恥心も出てきてますし。そもそもアイドルとデートすること自体がありえないことで、何がなんでもこの子を落としたいっていう気持ちでしたね。ちょっと夢みたいな現実離れした感覚だったんです。だから視聴者から引かれることも堂々とできてたんですよね。今は僕自身もすごい人だなって感覚で見ちゃいますね。間違いなく“痛いやつ”じゃないですか(笑)。

ーーそんな歴史がありつつ、4年ぶりの新曲「ラブアース」が完成しました。『ロンドンハーツ』で田村淳さんから「4日で曲を作ってほしい」と依頼されて制作がスタートしましたが、話を受けた時はどんな印象でしたか?

狩野:50TA企画に関しては、僕もやる直前まで何も知らされていないんです。本当に急に言われるので。だから今回も「ついにきたか」みたいな感慨に浸る間もなく、言われてから速攻で作業に入りました。でも、唐突すぎたのでスタッフの方にも聞いたんですよ。「4日しかないからワンコーラスでいいですか?」って。そしたら「いや、フルでお願いできれば」と返ってきて、もうやるしかないな、と(笑)。

ーー(笑)。じゃあ、目まぐるしく作業していた感じですね。

狩野:そうですね。バタバタしてました。結局、曲が出来ても終わった余韻に浸ることなく、次から次へと新しい展開が始まって。ただ、SNSなどで視聴者の方の良い反響を見て安心しましたね。

50TA新曲『ラブアース』 ★フルコーラス

ーー「ラブアース」はどのように作っていったんですか?

狩野:番組でオンエアされた通り、最初に淳さんからフワッと曲のテーマを振られて、その場で「何これ、すっごーい!」っていうフレーズが降りてきたんです。淳さんからは、それを活かしても、全く変えてもいいと言われたんですけど、せっかく降ってきたのでこのフレーズは残したいと思って。最初は「何これ、すっごーい! ◯◯」みたいに続く言葉を探したんです。でも、考えるうちに「何これ、すっごーい!」は最後の一発でいいかなって。最後の最後にくる「何これ、すっごーい!」の方が会心の一撃感があると思って、ああいう歌詞の構成になりました。4日しか制作期間はなかったんですけど、「何これ、すっごーい!」の配置はけっこう悩みましたね。

ーーそういう構成は直感的なものなんですよね。

狩野:そうですね。あんまり深く考えないのがコツというか。考えすぎるとやっぱり欲が出てくるんですよ。芸人あるあるなんですけど、紙とペンを持って机の上で頭を回転させて考えるギャグよりも、先輩から無茶振りされて出てきた言葉の方がウケたりする。それってやっぱり欲がないからなのかなって。崖っぷちまで追い込まれて、何か生まれないかって絞り出した言葉がハマることが多いんです。そこは曲も一緒で、淳さんから無茶振りされて、「えっと、えっと」みたいに焦りながら歌った方が良い曲が生まれる傾向が強いんです。

ーーでも、せっかく作るならちゃんと良い曲を届けたいという気持ちはありますよね。

狩野:それはもちろんあります。面白い曲だねって言われるよりも、良い曲だねって言われたいです。「ラブアース」に関して言えば、コンセプトは「みんながノれて、一丸となって楽しんでもらえる曲」にしたいと思いながら作りました。

ーーコロナウイルス感染予防の緊急事態宣言もあり、そういう時期だからこそこういう元気になる曲は必要なのかなとも思いました。

狩野:そうですね。今回一般の方々に「ラブアース」のアレンジを公募する企画も行っていて。家から出られない期間が続いた中で、家にいながらできる遊びのひとつにはなれたのかなって思います。そのアレンジしてくれたバージョンも聴いたんですけど、どれもこれもクオリティが本当に高いんですよ。アレンジするためには曲を聴き込まなきゃいけないし、それなりの時間を使って作ってくれていると思うと感動しましたね。「ラブアース」を愛してくれて本当にありがとうって。

僕にとっての音楽は“追い風”

ーーこれまでキャッチーな曲を作り続けている狩野さんにとって、良い曲の基準とはどのようなものでしょうか。

狩野:曲調的な部分だけでなく、元気にしてくれる、前向きな気持ちにしてくれる曲は好きですね。青春時代は本当に音楽漬けの毎日で、音楽は心の薬だと思っていたんです。本当に凹んだ時に励ましてくれるのは音楽だけだ、みたいに。高校3年の頃にすべてが嫌になった時期があって、その時に助けてくれたのがMr.Childrenの「花 -Mémento-Mori-」でした。〈負けないように 枯れないように 笑って咲く花になろう〉っていう歌詞が、当時反抗期で何もかもが上手くいかなかった僕の心に刺さりました。

ーーあと、50TAは衣装もインパクトがありますよね。ビジュアル的な部分は何からインスパイアされているんですか?

狩野:そこは、やっぱりHYDEさんですね。1番最初に50TAでライブをした時、メイクさんにも「L’Arc-en-Cielみたいにしてください」ってお願いしたんです。そのメイクさんも同年代だったのですぐに意思疎通できて、アイシャドウやネイル、髪も片方編み込んで片方を垂らすみたいなセットにしていただきました。自分がL’Arc-en-Cielになれたとまではいかないですけど、50TAとしての気持ちはグッと作りやすくなりましたね。

ーー歌い方やライブの所作もHYDEさんをイメージしている?

狩野:高校生の頃からHYDEさんの歌い方や間奏中の体のくねらせ方、衣装の使い方までずっと真似していたんです。50TAはもちろんですけど、芸人・狩野英孝のイケメンキャラもそこから生まれた感覚はあります。学生時代から体に染み渡っていたHYDEイズムが、そのまま自然と芸になっているというか。

ーーなるほど。50TAとしての曲も増えましたけど、作詞作曲はこれからも続けていきますか?

狩野:今後も作り続けたいですね。ただ、曲が増えてきちゃって、どんどん作曲が難しくなってくるんですよ。これまでの曲とは被らないように、被らないようにって心がけて作るんですけど、「あれ、これ聴いたことあるな」っていうことがある。だから作曲してると思うんですよね。改めて第一線で活躍し続けるサザンやミスチルって何十、何百曲も新しいものを作れて本当にすごいなって。

ーーこの質問はこれまでの50TA企画でも聞かれてきた質問ですが、最後に狩野さんにとって音楽とは?

狩野:僕にとっての音楽は追い風ですね。「blue a breeze」じゃないですけど、追い風を感じる、背中を押してくれるものが音楽なんです。僕自身も音楽に助けられたことは多いですけど、50TAを12年やってきて、一般の方々から「学生時代に聞いて笑いました」とか言ってもらえると本当に嬉しいんですよ。誰かの人生の追い風になれるような、パワーのある音楽をこれからも作り出していきたいです。

■番組情報
テレビ朝日系『ロンドンハーツ』
毎週火曜よる11時15分放送
公式サイト

50TA サイン入りチェキを1名様にプレゼント。

応募方法

リアルサウンド公式Twitter公式Instagramをフォロー&本記事ツイートをRTしていただいた方の中から抽選でプレゼントいたします。当選者の方には、リアルサウンドTwitterアカウント、もしくはInstagramアカウントよりDMをお送りさせていただきます。
※当選後、住所の送付が可能な方のみご応募ください。個人情報につきましては、プレゼントの発送以外には使用いたしません。
※当選の発表は、賞品の発送をもってかえさせていただきます。

リアルサウンド 公式Twitter
リアルサウンド 公式Instagram

<応募締切>
2020年7月27日(月)まで

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる