役者・草なぎ剛が人々に求められる理由 演技から伝わる“人間味”と“無垢な視線”

 役者・草なぎ剛の活躍が目白押しだ。主演映画『ミッドナイトスワン』の公開日が9月25日に決定。それを受けて、TOHOシネマズ60館では、新しい地図の3人が主演を務めた『台風家族』(草なぎ剛主演)、『半世界』(稲垣吾郎主演)、『凪待ち』(香取慎吾主演)の3作品を7月17日より1週間限定上映することも決まった。

 さらに先日、草なぎは2021年放送の大河ドラマ『青天を衝け』(NHK総合)で徳川慶喜役を演じることも発表された。最近は、スクリーンや舞台が演技の仕事の中心となっていた草なぎ。テレビドラマでの活躍を楽しみにしていたファンからは歓喜の声が上がり、Twitterでは「徳川慶喜」がトレンド入りするほど。なぜ、これほど多くの人に役者・草なぎ剛が求められているのか。

人間味を描く演技力

 日本のアイドル史を振り返ると、歌って踊るだけではなく、バラエティやドラマへとアイドルの活躍の場を開拓していったのはSMAPだと言われている。もちろん容姿端麗なアイドルゆえに、求められる役柄の多くは理想的な男性像や愛されるヒーロー的なキャラクターが多数だ。しかしその中で、草なぎが好演してきた役柄は多くがどこにでもいそうな普通の人間ばかりだった。

 代表作と呼ばれる『いいひと。』(フジテレビ系)では、そのまま草なぎのパーソナルイメージを決定づけるほど、楽観的な青年をナチュラルに演じてみせた。突出した個性がない人ほど、演じるのは難しい。仮に「いい人ってどういう人?」と訪ねたら、100人から100通りの答えが返ってくるだろう。それだけ解釈が異なる“いい人感”。試しに、鏡に向かって“いい人”を演じてみてほしい。きっとそこには、ぎこちない笑顔を浮かべた人が映し出されるに違いない。

 草なぎの演技の魅力を一言で表すなら、そのにじみ出る人間味だ。誰かに動かされている役柄ではなく、そこに生きる人間がいる、という説得力が彼の演技にはある。私たちは少なからずみんな“いい人”でいたいと願う。しかし一方で、人生にはいい人ではいられない瞬間がある。その矛盾から生まれる葛藤こそが、ヒューマンドラマの醍醐味。だから『フードファイト』(日本テレビ系)や『任侠ヘルパー』(フジテレビ系)など、舞台が日常とは少し遠くなったとしても、草なぎが演じる人間を身近に感じることができるのだろう。

失われない無垢な視線

 今回、公開が決定した『ミッドナイトスワン』で草なぎが演じるのは、トランスジェンダーの凪沙(なぎさ)。遠い親戚の少女・一果を預かり、母性が目覚め、バレリーナになる夢を応援するという役どころだ。また、発表された大河ドラマ『青天を衝け』での役どころは、徳川慶喜。言わずもがな、260年以上続いた江戸幕府を終わらせた最後の将軍だ。

 いずれも、多くの視聴者にとって「わかる」と共感する人は多くないと予想される役柄。しかし草なぎが演じることで、きっと“もし私がそう生まれていたら、そう生きたかもしれない”という、自分の中にいる凪沙や慶喜が見つけ出せるような予感がする。

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