KREVA、“新たなライブ様式”に向けた粋な試みの数々 ストリーミングライブ『①(マルイチ)』レポート
6月24日、KREVAがストリーミングライブ『①(マルイチ)』を開催した。
全国ホール&アリーナツアー『KREVA CONCERT TOUR 2019-2020『敵がいない国』』は新型コロナウイルス感染拡大防止のため無期限延期。本来なら横浜アリーナ公演が行われていたはずのこの日に行われたのが、新ライブ配信サービス「Thumva(サムバ)」のこけら落とし公演となったこのライブだ。
「Thumva」とは、株式会社フェイスが立ち上げたライブ配信のプラットフォーム。各社が同様のライブ配信サービスをスタートさせているが、「Thumva」の大きな特徴は、「グループ視聴」という機能にある。このモードに入ると、メインのライブ配信画面の下にリモート会議のように参加メンバーの顔を映した小さな画面が並び、8名までの友人同士のグループでビデオ通話やチャットをしながらライブを観ることができる。もちろんこのモードを使わず、フルスクリーンのライブ配信画面で視聴することや、オープンなライブチャットでコメントすることもできる。購入したポイントでアーティストにギフトを送信できるギフティングの機能もある。オンラインライブの「参加」や「応援」の新たな体験の形をもたらすサービスと言えるだろう。
ライブは9:08にスタート。映像は調理場からスタートし、コック姿で登場したKREVAが用意されたケーキに大きな「①」のデコレーションを描く。ジャケットに着替えサングラスを身につけて移動すると、そこはBillboard Live TOKYOのエントランス。ステージにスタンバイしていたバンドメンバーの白根佳尚(Dr)、熊井吾郎(DJ/ MPC)、SONOMI(Cho/Key)、大神田智彦(Ba)、田中義人(Gt)、タケウチカズタケ(Key)がイントロダクションのセッションを奏で、そこにKREVAが合流する。メンバー同士のソーシャルディスタンスを保つため、通常のステージと無観客のフロアを使っての布陣だ。
ライブは「パーティはIZUKO? 〜2019 Ver.〜」からスタート。曲中では、フロアに置かれたPCに映し出されたライブ配信画面をKREVAが覗き込みチャットのコメントを読み上げていくことで、リアルタイムで時間を共有しているライブ感が生まれる。リアルライブでは定番となっているこの曲での「パーティーはどこだ?」「ここだ!」のコールアンドレスポンスの代わりに、KREVAはライブチャットのコメント欄に「こ」「こ」「だ」「!」を打ち込んで「ここだ!」のフレーズを作ろうと提案。流れが早すぎて見えないほどの文字でコメントが埋め尽くされる。
さらにはインタールードで即興演奏するコードをコメントで募集するなどオーディエンスとコミュニケーションをとりながら、「国民的行事」、「王者の休日~2019 Ver.~」と続けていく。
全曲バンドスタイルでの演奏が繰り広げられたこの日のライブ。セットリストはニューアルバム『AFTERMIXTAPE』の収録曲というよりも、過去の様々な作品から幅広く選ばれた内容だ。MCでも、もともとツアーのために用意していたものではなく今回の「①(マルイチ)」のために新しく構成したものだとKREVAは語っていた。序盤は「基準 〜2019 Ver.〜」や「ストロングスタイル 〜2019 Ver.〜」などアグレッシブな曲調もあったが、全体的にはゆったりとしたメロウな楽曲が中心。Billboard Live TOKYOという場所だからこそとも言えるし、画面越しのコミュニケーションになるオンラインライブだからこそのセットリストとも言えるだろう。