欅坂46 菅井友香、“お嬢様”な一面の裏にある肝の据わった強い心 キャラクター性を分析
グループにおける“菅井様”
それと同時に、根性や度胸についても彼女を語る上で重要なポイントである。長らくセンターを務めていた平手友梨奈がグループ活動から離れていた時期、代わりに菅井がセンターに立ったことがあった。2018年4月のことである。曲は「不協和音」。このグループ随一の難曲のセンターをスタッフから任されたときのことを、彼女はこう話している。
「最初にスタッフさんから「菅井に頼みたい」って連絡がきた時は、「大丈夫ですか?」って思いました。自分が「不協和音」をセンターで踊るイメージも全然できなかったので。(中略)こんなに頑張れる環境もありがたいし、ここで逃げたら自分が変わるタイミングはこの先ないだろうなと思ったから、1回がむしゃらに死ぬ気でやってみようって思って、「ぜひよろしくお願いします」って返事しました」(『BRODY 2018 AUGUST』より)
鬼気迫る叫び声で放った彼女の「僕は嫌だ!」には当時、心を震わされたのを覚えている。これまでの活動を通しても「グループを守りたい」という思いが最も強く伝わってくるものだった。そして何よりも、挑戦しようと決断したその胆力に驚かされたのだ。
曲のフォーメーションでは中列中央のポジションに選ばれることが多く、よく音楽番組などでパフォーマンスする際、カメラがセンターにフォーカスしたその真後ろに映っているのが彼女だ。それゆえか、グループを支えようといつも踏ん張っているイメージがどこかある。
2018年に発売した個人写真集『フィアンセ』では“お嬢様”らしく清楚で優雅な雰囲気を漂わせていたが、その一方で、今年初主演を務めた舞台『飛龍伝2020』では、全共闘40万を率いる女委員長、神林美智子役を力強く演じ切っている。単なる“お嬢様”な一面の裏側には、肝の据わった強い心が潜んでいる。だからこそ、彼女がキャプテンでいることによる安心感のようなものがグループ全体にあるように思う。
愛と礼節、そして度胸の人……彼女の活動に対する真摯な姿は、多くのメンバーや、ひいてはそれを見守るファンにまで影響を与えているはずだ。与えられた仕事に精一杯取り組む姿勢は、今後のグループの成長をも呼び込んでくれることだろう。
■荻原 梓
J-POPメインの音楽系フリーライター。クイックジャパン・リアルサウンド・ライブドアニュース・オトトイ・ケティックなどで記事を執筆。
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